- ストレスチェックの「実施者」になれる6資格の違いと使い分け
- 保健師・看護師・公認心理師など、どの資格者を選ぶべきかの判断基準
- 研修の要否・免除条件を資格ごとに比較
- 社内の有資格者を実施者にする場合の注意点(人事権・兼任の可否)
ストレスチェックの実施者とは
ストレスチェックの実施者とは、調査票の企画・結果の評価・高ストレス者の選定を行う責任者として、労働安全衛生規則第52条の10第1項で定められた資格を持つ者を指す。産業医に限定されず、6種類の資格のいずれかを満たせば実施者になれる。
「産業医がいない=実施できない」わけではなく、6資格のうちどれを選ぶかで、社内対応の可否や外部委託の要否が変わる。本記事では実施者の資格そのものの違いに焦点を当てて比較する。外部委託の進め方や費用相場を具体的に知りたい場合は、後述の関連記事を参照してほしい。
実施者になれる6資格を比較する
労働安全衛生規則第52条の10第1項が定める実施者の資格は、研修が不要な2資格と、厚生労働大臣が定める研修(ストレスチェック実施者養成研修)の修了が必要な4資格に分かれる。
| 資格 | 研修 | 実務での位置づけ |
|---|---|---|
| 医師 | 不要 | 産業医に限らず一般の医師でも可。最も広く認められる資格 |
| 保健師 | 不要 | 嘱託保健師・外部委託先所属の保健師でも可。内製化しやすい |
| 歯科医師 | 必要 | 養成研修修了が必須。医療系資格だが実務での選任例は少数 |
| 看護師 | 必要(※) | ※労働者の健康管理業務に3年以上従事した経験があれば研修免除 |
| 精神保健福祉士 | 必要(※) | ※同上。メンタルヘルス領域の専門性を活かしやすい |
| 公認心理師 | 必要 | 養成研修修了が必須。心理アセスメントの知見を実施設計に活かせる |
出典: 厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」(労働安全衛生規則第52条の10第1項)
保健師と看護師、どちらを選ぶべきか
社内に両方の有資格者がいる場合は、まず保健師を優先するのが実務上は簡便である。保健師は研修なしで実施者になれるのに対し、看護師は3年以上の労働者健康管理経験がなければ養成研修の受講が必須になるためだ。
すでに衛生管理の実務経験が3年以上ある看護師が社内にいるなら、研修免除の対象になるため、追加コストなしで実施者に選任できる。経験年数が不明な場合は、まず本人の労働者健康管理歴を確認することから始めるとよい。
公認心理師・精神保健福祉士を選ぶメリットは何か
公認心理師・精神保健福祉士は、ストレスチェックの結果を職場改善やメンタルヘルス対応に接続しやすい点がメリットである。ただし両資格とも実施者になるには養成研修の修了(精神保健福祉士は3年以上の実務経験があれば免除)が必要なため、選任前に研修受講のスケジュールを確保しておく必要がある。
集団分析の結果をもとに管理職向け研修や職場環境改善につなげたい企業では、これらの資格者を実施者に据えることで、検査後のフォローまで一貫した体制を作りやすい。
社内に有資格者がいない場合はどうするか
社内に6資格のいずれも該当者がいない場合は、外部委託先に所属する医師・保健師を実施者として活用するのが現実的な選択肢になる。外部委託先の種類・選び方・費用相場・地域産業保健センター(地さんぽ)の活用手順は、姉妹記事「産業医がいない事業場のストレスチェック実施ガイド」で具体的な進め方を解説している。
実施者選任で注意すべき2つのポイント
資格要件を満たしていても、選任時には以下の2点を必ず確認する必要がある。
人事権を持つ者は選任できない
実施者・実施事務従事者ともに、労働者の人事に直接の権限を持つ者(人事評価・異動・解雇の決定権者)は選任できない。労働者が不利益取扱いを恐れて正直に回答できなくなることを防ぐための規定である。
資格の兼任は可能だが実施事務従事者との兼任は避ける
同一人物が複数の事業場の実施者を兼任すること、また実施者と衛生委員会の委員を兼任することは制度上妨げられていない。ただし実施者と実施事務従事者を同一人物が兼任することは、業務量と利益相反の観点から避けるのが望ましい。
まとめ
ストレスチェックの実施者になれる資格は医師・保健師・歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師の6種類であり、産業医以外でも適法に実施できる。社内に有資格者がいる場合は研修要否を確認したうえで選任し、いない場合は外部委託先の実施者を活用する。どちらを選ぶにしても、人事権を持つ者を選任しないという原則は共通して守る必要がある。
ストレスチェックの実施者選定や外部委託先の比較でお悩みの場合は、FUNBREWのお問い合わせフォームからご相談いただけます。全体の制度概要は「【2026年版】ストレスチェック実施ガイド」、同意書の実務は「ストレスチェック同意書の書き方ガイド」も参考にしてほしい。
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