高ストレス者割合とは何か
ストレスチェックの結果、一定の基準を超えたストレス状態にある労働者を「高ストレス者」と判定します。事業者は高ストレス者に対し、医師による面接指導の申出を勧奨する義務があります(労働安全衛生法第66条の10第3項)。
高ストレス者の割合(高ストレス者率)は、事業場の職場環境・業界特性・働き方によって異なりますが、厚生労働省の実施マニュアルでは受検者全体の約10%が高ストレス者となるよう設計されています。
全国平均と実態データ
厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(令和4年3月)」によると、実際の高ストレス者割合は設計値を上回り、約14.9%(約7人に1人)が高ストレス者に該当するとされています。
| 基準 | 高ストレス者割合の目安 |
|---|---|
| 厚労省マニュアルの設計値 | 受検者の約10% |
| 全国平均(実態) | 約10〜15%(令和4年度約14.9%) |
| 多くの事業場の分布 | 5〜20%の範囲 |
業界別・職種別の傾向
高ストレス者割合は業界・職種によって大きく異なります。厚生労働省や民間調査では、以下のような傾向が報告されています。
- 割合が高い傾向:医療・介護(夜勤・感情労働)、建設(長時間労働・労災リスク)、情報通信(工数管理・技術的プレッシャー)
- 割合が低い傾向:製造業の一部(工程が標準化され役割が明確)、教育機関(繁閑があるがサポート体制が整備される場合)
自社の数値を「業界平均」と比較する際は、単一の全国平均との比較だけでなく、同業他社や類似規模の事業場との比較が有益です。
高ストレス者の判定基準の種類
厚労省実施マニュアルでは、高ストレス者の判定基準として主に次の2方法が示されています。事業場の衛生委員会で審議し、どちらの方法を採用するかを決定します。
方法1:素点換算表を用いた得点評価
「心理的な負担による心身の自覚症状(A領域)」の合計点数が高い労働者、または「A領域の点数+職場における当該労働者の支援(C領域)の点数」の合計が高く、かつ「職場における当該労働者が置かれている環境による心理的な負担(B領域)」の点数が高い労働者を高ストレス者とする方法です。
厚労省マニュアルの標準的な基準では、受検者の約10%が高ストレス者となるよう閾値が設定されています。
方法2:素点換算表による3領域の組み合わせ評価
A・B・Cの3領域の素点を換算し、合計点数が一定値を超える場合に高ストレス者と判定する方法です。こちらも標準基準で受検者約10%が対象となります。
自社の高ストレス者割合が高い場合の対応
自社の高ストレス者割合が全国平均(約10〜15%)を大幅に上回る場合(例:20%超)は、職場環境に構造的な問題がある可能性を示しています。以下のステップで対応します。
Step1: 集団分析で部署・職種別に分解する
全体の割合が高くても、特定の部署・チームに集中している場合があります。集団分析(仕事のストレス判定図)で10名以上の集団を抽出し、「量的負荷」「職場の支援」などの得点が低い部署を特定します。
Step2: 衛生委員会に報告・審議する
集団分析の結果を衛生委員会に報告し、対策の方向性を審議します。高ストレス者割合が高い場合には、衛生委員会の議事録に対応方針を記録しておくことが法令上の証跡として重要です。
Step3: 職場環境改善計画を作成する
「職場環境改善計画(ストレス低減アクションプラン)」を作成し、残業削減・休暇取得促進・コミュニケーション強化など具体的な施策を定めます。次年度のストレスチェックで改善効果を検証します。
自社基準値を衛生委員会で設定する手順
初回のストレスチェック実施前に、衛生委員会で以下の項目を決定・記録します。
- 判定基準の選択:厚労省標準基準を採用するか、事業場独自基準を定めるかを審議
- 高ストレス者割合の目標値:現状ベースラインと次年度目標を設定(例:初年度15% → 翌年12%)
- 面接指導の勧奨方法:文書・メール・上長経由の別と、申出期限(標準は概ね1か月以内)
- 集団分析の実施単位:原則10名以上(プライバシー保護)の部署・職種単位で実施
高ストレス者割合を継続的にモニタリングするポイント
1回のストレスチェックで終わらせず、経年でトレンドを追うことが重要です。
- 前年比較:同一集団の高ストレス者割合の増減を確認
- 部署別推移:改善施策を実施した部署と未実施部署の差異を比較
- 面接指導申出率:高ストレス者のうち実際に面接指導を申し出た割合(全国平均は受検者の約0.5〜1%)
ストレスチェックシステムが集計・可視化機能を備えていれば、年度ごとのダッシュボードで担当者負担を軽減できます。
- 高ストレス者の設計上の目安は受検者の約10%、全国実態は約14.9%(令和4年度)
- 業界・職種によって割合は異なり、医療・介護・建設・IT系は高い傾向
- 自社が平均を大幅に超える場合は集団分析→衛生委員会報告→改善計画の3ステップで対応
- 判定基準は厚労省マニュアルの標準基準を採用し、変更時は衛生委員会で審議・記録
- 経年トレンドを追うことで職場環境改善の効果検証が可能になる
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