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労務管理

ストレスチェック未実施のリスクと罰則|労基署指導の実態と対応策

2026年3月22日 約6分で読めます

ストレスチェックの未実施は、単なるルール違反にとどまらず、労働基準監督署の指導・勧告・罰則、さらには労災認定や民事訴訟につながるリスクがあります。2015年の義務化以降、行政の対応は年々厳格化しており、「まだやっていない」企業にとってリスクは高まっています。

本記事では、ストレスチェック未実施のリスクと行政指導の実態、そして未実施状態から早急に対応するための手順を解説します。なお既存記事(ID:191)では制度の概要と義務内容を解説していますが、本記事では未実施リスクと行政対応に特化した内容を扱います。

この記事のポイント
  • ストレスチェック未実施に対する法的ペナルティ(50万円以下の罰金)の根拠
  • 労基署の調査・指導・勧告のプロセスと実態
  • 未実施が発覚するきっかけ(定期監督・労働者の申告・労災申請時)
  • 未実施状態から最短で対応するための具体的なステップ
  • 継続的な未実施を防ぐための体制整備

ストレスチェック未実施に対する法的ペナルティ

ストレスチェックの実施義務に違反した場合のペナルティを確認します。

労働安全衛生法上の罰則

労働安全衛生法第120条第1号は、同法の規定(ストレスチェック実施義務を含む)に違反した事業者に対して「50万円以下の罰金」を科することができると定めています。ただし、罰金が直接科されるケースは多くなく、多くの場合は行政指導のプロセスを経た後の対応となります。

実際のペナルティの段階的プロセス

段階行政の対応事業者がすべき対応
第1段階労基署からの指導(行政指導)指導内容の確認と改善計画の提出
第2段階勧告(改善が見られない場合)勧告内容に従った早急な是正
第3段階企業名の公表(重大な違反の場合)早期改善で名称公表を防ぐ
第4段階司法処分(告発・罰金)ここまでの到達を避けるための初期対応が重要
💬
実務上、ストレスチェックの未実施だけで即座に罰金が科されるケースは少ないですが、労基署指導後も改善しない場合や、ストレスチェック未実施が労災申請の調査で発覚した場合は、安全配慮義務違反として民事上の損害賠償責任が発生するリスクが高まります。

労基署が調査・指導を行うきっかけ

ストレスチェック未実施が行政の調査対象となるきっかけを把握しておくことが重要です。

主な発覚のきっかけ

  • 定期監督(一般定期監督・集中監督):労基署が計画的に事業場を選定して実施する定期的な調査。ストレスチェックは安全衛生関係の確認項目に含まれる
  • 是正勧告後の再調査:他の労働法令違反で是正勧告を受けた際に、安全衛生管理全体が点検される
  • 労働者からの申告:「うちの会社はストレスチェックをやっていない」という労働者からの申告
  • 労働災害(労災)申請時の調査:精神疾患による労災申請があった際に、ストレスチェックの実施状況が調査される
  • 労働基準監督署への年次報告の確認:様式第6号の2(ストレスチェック結果等報告書)の未提出が発覚するケース

年次報告書(様式第6号の2)の未提出リスク

特に注意が必要なのが、定期健康診断結果報告書と合わせて提出が必要なストレスチェック等実施状況報告書の未提出です。この報告書を提出しないことも法令違反となり、定期監督時に確認される可能性があります。

💬
「ストレスチェックをやっていないのがバレるから報告書も出さない」という対応は最悪のケースです。未実施でも「今年度は実施できなかった。来年度は確実に実施する計画がある」という姿勢を示す方が、改善意思を評価されます。

未実施が招く民事上のリスク

行政ペナルティより深刻な場合があるのが、民事上(訴訟)のリスクです。

ストレスチェック未実施と安全配慮義務違反

使用者(会社)は労働者に対して「安全配慮義務」を負います(労働契約法第5条)。この義務の一環として、ストレスチェックを通じた従業員のメンタルヘルス状態の把握が求められます。

従業員がうつ病や精神疾患で休職・退職した場合に「会社はストレスチェックを実施せず、高ストレス者を早期に発見する機会を持たなかった」という事実が安全配慮義務違反の根拠として主張されるリスクがあります。

損害賠償請求のリスク

裁判例では、会社が従業員のメンタルヘルス悪化を認識できたにもかかわらず適切な措置を取らなかった場合に、数百万〜数千万円の損害賠償が認められたケースがあります。ストレスチェック未実施はこのような認識の機会を自ら放棄した証拠として主張される可能性があります。

未実施状態から最短で対応する手順

「今からでも間に合う」ストレスチェックの実施対応手順を解説します。

緊急対応ステップ

  1. 実施機関・産業医の確保(1〜2週間):社内に産業医がいない場合、産業医紹介サービスや外部EAP機関に依頼する。オンライン対応可能な産業医紹介サービスを活用することで最短1〜2週間での確保が可能
  2. 実施システムの選定(1〜2週間):初期費用が低いクラウド型のストレスチェックシステムを選定。最短数日で使い始められるものもある
  3. 安全衛生委員会での承認(1回の委員会):実施計画書・質問票・実施要領を安全衛生委員会で審議・承認
  4. 従業員への周知・実施(2〜4週間):全従業員への案内メール配信、回答期間2〜4週間を設定
  5. 報告書提出(実施後1か月以内):労基署への報告書提出で法令履行を対外的に証明
💬
「今年度は準備が間に合わないかもしれない」という段階でも、「来月から実施を開始する計画が固まっている」という状態を早急に作ることが重要です。労基署の調査や従業員からの申告があった際に、具体的な実施計画を示せることが最大の防御になります。

継続的な未実施を防ぐ体制整備

一度体制を整備したら毎年確実に実施するための仕組みを構築します。

  • 毎年同じ時期(例:毎年6月)に実施することを会社のカレンダーに固定化
  • ストレスチェック担当者を明確に決め、引き継ぎプロセスを整備
  • 人事カレンダーにリマインダーを設定(実施3か月前・1か月前・2週間前)
  • 産業医との年間契約と実施スケジュールの事前合意
  • ストレスチェックシステムを年間契約で維持(その都度探す手間を省く)

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まとめ

ストレスチェックの未実施は、50万円以下の罰金という直接的なペナルティより、安全配慮義務違反による民事訴訟リスクの方が実務上の影響が大きいです。行政指導が来てからでは手遅れにならないよう、「今から最短で実施を開始する」ことが最も重要な対応です。

外部の産業医紹介サービス・クラウドストレスチェックシステムを活用することで、最短1〜2か月での実施体制構築が可能です。FUNBREWでは、ストレスチェックシステムの迅速な導入・開発を支援しています。

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よくある質問
ストレスチェックを1回も実施していません。今から実施しても行政指導を受けますか?
可能性はゼロではありませんが、「今から積極的に対応する」姿勢を示すことが重要です。産業医の確保・システムの選定・実施計画書の作成という具体的な準備を進めることで、万一調査を受けた際にも改善意思を示せます。
ストレスチェックの実施義務はどのような事業場に適用されますか?
常時50人以上の労働者を使用する事業場(工場・支店・事務所等の各事業場単位)に実施義務があります。49人以下の事業場は努力義務(2025年度中に義務化予定)です。グループ会社の場合は法人単位ではなく事業場単位で判定します。
報告書(様式第6号の2)を提出していない場合のリスクは?
報告書の未提出は報告義務違反となり、労働安全衛生法違反として50万円以下の罰則対象になります。定期監督でも確認されます。未提出の場合は速やかに実施・報告書提出の対応をしてください。
従業員がストレスチェック未実施を労基署に申告した場合はどうなりますか?
労基署は申告を受けると、対象事業場への調査・臨検を実施することがあります。申告に基づく調査では、ストレスチェック以外の安全衛生管理全般も確認されます。指導後は速やかに改善計画を提出し、次の定期監督までに是正を完了することが求められます。
産業医がいない中小企業でストレスチェックを実施する方法はありますか?
産業医不在でも、外部の実施機関(産業医紹介サービス・EAP機関・健康管理サービス会社)に委託することでストレスチェックを実施できます。費用は従業員1人あたり500〜3,000円程度が目安です。50人未満の事業場は労働衛生機関に一括委託する方法が一般的です。

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