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HR・労務

ストレスチェック実施規程の作り方と記載例|厚労省の規程例をもとに企業担当者向けに解説

2026年5月29日 約4分で読めます

この記事のポイント

  • ストレスチェック実施規程は衛生委員会の審議を経て作成する社内ルール文書
  • 必須記載事項は実施体制・調査票の種類・高ストレス者基準・秘密保持など8項目
  • 厚生労働省の「実施規程(例)」をベースに自社に合わせてカスタマイズできる
  • 2028年4月義務化(50人未満)に向けて今から整備しておくことを推奨

ストレスチェック実施規程とは何か

ストレスチェック実施規程とは、事業場がストレスチェック制度を適切に運用するために定める社内ルール文書です。労働安全衛生法に基づく指針では、事業者は衛生委員会等の調査審議を踏まえて、実施規程を策定するよう求められています。

規程を定めることで、担当者が変わっても制度を継続的・一貫して運営でき、従業員への説明責任も果たせます。規程がない事業場では、実施のたびに手順の確認や担当者間の認識合わせが必要になり、運営コストが高くなります。

実施規程は「作って終わり」ではなく、毎年の衛生委員会で内容を見直す習慣をつけることが重要です。義務化が50人未満にも拡大される2028年4月に向けて、今から整備しておく価値があります。

実施規程に定める8つの必須事項

厚生労働省の「ストレスチェック制度実施規程(例)」(平成27年9月公表)をもとに、実施規程に記載すべき主な事項を整理します。これらを漏れなく規程に盛り込むことで、労基署の指導を受けた際にも対応できる体制が整います。

項目主な内容
1. 実施体制実施者(医師・保健師等)と実施事務従事者の役割、外部委託先の選定基準
2. 実施方法調査票の種類(57項目版・80項目版など)、実施時期・頻度、回答方法(紙・Web)
3. 高ストレス者の選定基準素点換算法または合計点数法のどちらを採用するか、上位何%を高ストレスと判定するか
4. 結果の通知方法実施者から本人への結果通知の方法・期限(実施後おおむね1か月以内が目安)
5. 面接指導の申出・実施方法高ストレス者が申し出る窓口、面接の実施期限、医師への情報提供の範囲
6. 情報の保存方法と期間個人の検査結果は5年間保存が推奨(実施者または実施事務従事者が保管)。集団分析結果も5年間保存が推奨(努力義務)
7. 不利益取扱いの防止検査結果・面接申出を理由とした解雇・降格・不当な人事異動を行わないことの明記
8. 秘密保持の方法実施事務従事者の守秘義務、人事権者が実施事務に関与できない旨の規定

衛生委員会での審議が必須

実施規程を策定・変更する前には、必ず衛生委員会(または安全衛生委員会)で審議を行う必要があります。衛生委員会は毎月1回以上開催し、議事録を3年間保存する義務があります。

ストレスチェックに関して衛生委員会が審議すべき主な事項は以下のとおりです。

  • 実施者の選任方法と外部委託先の選定
  • 使用する調査票の種類
  • 高ストレス者の選定基準
  • 結果の集団分析の実施方法と活用方針
  • 従業員への制度の周知方法
  • 面接指導の申し出窓口と対応手順

審議結果は議事録に残し、3年間保存してください。実施規程の内容に変更があった場合は、変更のたびに衛生委員会での審議・承認を経ることが求められます。

実施規程の記載例(主要部分)

以下は、厚生労働省の規程例を参考にした主要条文の記載例です。実際の作成時は自社の実施体制・委託先・使用する調査票に合わせて調整してください。

第○条(目的)

本規程は、労働安全衛生法第66条の10の規定に基づき、●●株式会社においてストレスチェック制度を適正かつ継続的に実施するために必要な事項を定めることを目的とする。

第○条(実施体制)

ストレスチェックの実施者は、産業医(または保健師)とする。実施事務従事者は人事部員のうち対象者の人事に関して直接権限を持つ者を除いた者が担当し、実施者の指示のもとで業務を行う。

第○条(使用する調査票)

調査票は、厚生労働省が示す職業性ストレス簡易調査票(57項目)を標準として使用する。

第○条(高ストレス者の選定)

高ストレス者の選定は、厚生労働省の素点換算表に基づき、ストレス反応に関する領域で一定の基準点を超えた者、または各領域の合計点が一定基準を超えた者とする。具体的な基準は実施者が定め、衛生委員会の承認を得る。

第○条(秘密保持)

実施者および実施事務従事者は、検査の実施に関して知り得た情報を正当な理由なく第三者に漏らしてはならない。また、会社は検査の結果を対象者本人の同意なく事業者に提供させてはならない。

実施規程の作成・更新フロー

実施規程は「作成→審議→運用→見直し」のサイクルで管理します。

  1. 初回作成:厚生労働省の規程例をベースに自社の実施体制・調査票・高ストレス判定基準を記載
  2. 衛生委員会での審議・承認:改訂内容を委員会で審議し、議事録に記録
  3. 従業員への周知:全従業員に実施規程の概要と実施目的を説明(社内イントラ・説明会など)
  4. 年次見直し:年1回以上、法令改正・実施結果・委員会意見を踏まえて改訂を検討

50人未満の事業場では2028年4月義務化に向けて今から準備を

2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、ストレスチェックは2028年4月1日を目標施行日として50人未満の事業場にも義務化される方針です(2026年5月18日の労働政策審議会での提示)。

現状では努力義務ですが、義務化後は実施規程の整備も求められます。今から体制を整えておくことで、義務化時点でスムーズに移行できます。厚生労働省は2026年2月25日に「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル(令和8年2月版)」を公表しており、規程作成の参考として活用できます。

よくある質問
ストレスチェック実施規程は必ず作成しなければなりませんか?
法令上「規程」の作成は明文で義務化されていませんが、厚生労働省の指針では衛生委員会等での調査審議を経て実施方法を定めることが求められています。実務上は書面で規程を整備することが強く推奨されており、労基署の指導対象になる場合もあります。
実施規程は衛生委員会がない50人未満の事業場でも必要ですか?
50人未満の事業場には衛生委員会の設置義務がありません。その場合は「労働者の意見を聴く機会」を設けた上で規程を作成することが推奨されています。2028年4月の義務化後は、より正式な手続きが求められる可能性があるため、今から準備しておくことを推奨します。
調査票の種類は57項目以外でも規程に記載できますか?
はい。57項目の職業性ストレス簡易調査票が標準(国推奨)ですが、80項目版や独自票を使用する場合も規程に明記できます。ただし独自調査票は「①仕事のストレス要因、②心身のストレス反応、③周囲のサポート」の3領域が含まれていることが要件です。
高ストレス者の選定基準は何を使えばよいですか?
厚生労働省が推奨する「素点換算法」(各領域を標準化して算出)と「合計点数法」(単純合計で判定)の2種類があります。いずれも職業性ストレス簡易調査票(57項目)の実施マニュアルに詳細な基準が示されています。基準を選んだら規程に明記し、衛生委員会で承認を得てください。
実施規程に人事権者を実施事務従事者から除外する規定は必要ですか?
はい、必須です。労働安全衛生規則では、労働者の人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は実施事務従事者になれないと定められています。規程にこの旨を明記し、対象者が人事に与える影響を最小化することが個人情報保護の観点からも重要です。
実施規程は毎年更新が必要ですか?
定期的な見直しが推奨されます。特に法令改正(例:2028年の義務化拡大)、実施結果を踏まえた改善、委託先の変更があった場合は内容を更新し、衛生委員会で審議・承認を得てください。議事録に変更内容を記録・保存することも忘れずに。
厚生労働省の「実施規程(例)」はどこで入手できますか?
厚生労働省のウェブサイト(ストレスチェック関連情報ページ)からPDF形式でダウンロードできます。URLは「https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150930-1.pdf」です。また「ストレスチェック制度 実施マニュアル」も同サイトで公開されており、あわせて参照することをお勧めします。
外部機関に実施を委託する場合、実施規程の内容は変わりますか?
基本的な記載事項は同じですが、委託先(外部機関)の名称・役割・情報管理方法を規程に明記する必要があります。特に「個人の検査結果を委託先が保管すること」「委託先との守秘義務契約の締結」について規程に盛り込むことが重要です。

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