- 労基署の行政指導(是正勧告)は「指導票」「是正勧告書」の2段階で行われる
- 勧告を受けたら30日以内を目安に「是正報告書」を提出するのが一般的
- 報告書には「是正した事実」と「再発防止策」の両方を具体的に記載する
- ストレスチェック未実施・報告漏れ・結果の保管ミスが指導を受ける主な原因
- 指導後は実施体制の文書化・担当者の明確化・外部委託の検討が再発防止の柱になる
ストレスチェックで行政指導を受ける主な原因
労働基準監督署によるストレスチェックの行政指導は、定期監督(年1回程度の事業場訪問)や労働災害調査をきっかけに行われることが多いです。主な指導原因は以下の3つです。
1. ストレスチェックの未実施
常時50人以上の労働者を雇用する事業場では、年1回のストレスチェック実施が義務です(労働安全衛生法第66条の10)。実施していない事業場が最も多く指摘される原因です。2026年の法改正(令和7年5月公布)により、将来的には50人未満も義務化される方向で、今から体制を整えることが重要です。
2. 結果の労働基準監督署への報告漏れ
ストレスチェックを実施した後、様式第6号の2(定期健康診断結果報告書に準ずる報告書)を提出しなかった場合も指導の対象になります。提出期限は実施の翌年1月末日が目安ですが、事業年度によって異なるため確認が必要です。
3. 結果の不適切な管理・保管
個人のストレスチェック結果は5年間の保管義務があります(労働安全衛生規則第52条の13)。データの保管先が不明確、アクセス権限の管理が甘い場合も指摘されることがあります。
行政指導の流れ:「指導票」と「是正勧告書」の違い
労基署の行政指導は強度によって種類が異なります。
| 段階 | 書類名 | 内容 | 対応の目安 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 指導票 | 法違反ではないが改善を求める「行政指導」 | 指示された期日までに改善・報告 |
| 第2段階 | 是正勧告書 | 法令違反が確認された際の「勧告」 | 通常30日以内に是正報告書を提出 |
| 第3段階 | 司法措置 | 繰り返し違反した場合の送検・罰則 | 50万円以下の罰金(労安衛法第120条) |
ストレスチェックに関する違反で多いのは第2段階(是正勧告書)までです。勧告を受けたら速やかに是正し、報告書を提出することで多くの場合は解決します。
是正報告書の書き方:必ず押さえる3つのポイント
是正報告書(是正報告)は決まった様式がなく、任意書式で提出できます。ただし、以下の3点は必ず含めてください。
ポイント1: 指摘された事項を正確に引用する
是正勧告書に記載された「違反条項」「違反の内容」をそのまま引用し、どの事項について報告するかを明示します。曖昧な表現は再指導の原因になります。
ポイント2: 是正した事実を具体的に記載する
「ストレスチェックを実施しました」ではなく、「2026年○月○日〜○月○日にかけて、全従業員○名にストレスチェック(職業性ストレス簡易調査票57項目)を実施し、実施者:○○保健師(資格番号○○)のもとで結果を確定しました」のように、5W1Hで具体的に記述します。
ポイント3: 再発防止策を記載する
「今後は毎年○月に実施します」だけでは不十分です。「実施担当者の明確化・毎年4月に実施スケジュールを決定・外部機関への委託契約を締結」など、組織的な仕組みとして継続できることを示します。
是正報告書提出後のよくある疑問
是正報告書を提出すれば終わりか?
基本的には提出後に再監督(立入調査)が行われることはまれですが、提出した再発防止策が実行されているかを確認する「フォローアップ調査」が入る場合もあります。報告した内容を実際に実施し、記録を残すことが重要です。
労基署への相談窓口は?
是正報告書の書き方など、疑問点は担当の労働基準監督官に電話で確認することができます。管轄の労働基準監督署(事業場住所地)に問い合わせてください。また、社会保険労務士(社労士)に代行を依頼することも可能です。
再発防止のための体制整備:3つの柱
柱1: 実施スケジュールの文書化
「毎年○月に実施する」という方針を社内規程・年間計画書に明記します。担当者が変わっても継続できるよう、手順書も合わせて整備してください。
柱2: 実施担当者の明確化と教育
実施者(資格者)と実施事務従事者(補助担当者)の役割を明確化し、担当者に制度知識の研修を行います。産業医との連携体制も書面化しておきましょう。
柱3: 外部委託の検討
社内だけで対応が難しい場合、クラウド型ストレスチェックシステムや産業保健機関への委託を検討します。委託により実施者の確保・結果管理・報告書作成を一括で対応できるため、再指導リスクを大幅に下げられます。
50人未満企業への今後の影響
2026年5月の法改正公布により、50人未満の事業場にも段階的にストレスチェック義務が及ぶ見通しです(施行日は政令で確定待ち)。義務化前でも、体制を整えておくことで将来の行政指導リスクを予防できます。特に30〜49人規模の事業場は優先して対応を始めることをお勧めします。
まとめ
- ストレスチェックの行政指導は「未実施」「報告漏れ」「保管ミス」が主な原因
- 是正勧告書を受けたら30日以内を目安に是正報告書を提出
- 報告書には「是正した事実(5W1H)」と「具体的な再発防止策」を必ず記載
- 再発防止の3本柱:スケジュール文書化・担当者明確化・外部委託の検討
- 50人未満でも義務化前から体制を整えることで将来のリスクを予防できる
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