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労務管理

ストレスチェック義務化はいつから?50人未満の事業場は2028年4月1日施行の方針【準備タイムライン付き】

2026年5月22日 約8分で読めます

この記事でわかること

  • ストレスチェック義務化の施行日「2028年4月1日」方針の経緯と現状
  • 「50人」の数え方――自社が対象かどうかの判定方法
  • 今から2028年4月までの準備タイムライン(年次ロードマップ)
  • 小規模事業場が直面する4つの課題と具体的な対策
  • 使える公的支援・助成金の最新情報

2026年5月18日、厚生労働省の労働政策審議会・安全衛生分科会において、50人未満の事業場へのストレスチェック義務化の施行日を「2028年4月1日」とする方針が示されました。これまで「公布から3年以内(最遅2028年5月)」とされてきた施行日が、審議会の場で具体的な日付として示されたかたちです。

正式な施行日は今後の政令公布で確定しますが、2028年4月1日に向けた準備が現実的に動き出した段階です。本記事では、施行スケジュールの経緯を正確に整理したうえで、50人未満の会社・事業場が「今から何をすべきか」を年次タイムラインで解説します。

なぜ今、施行日が明確になったのか

改正法の公布から審議会での方針提示まで

ストレスチェックは2015年12月から、常時50人以上の労働者を使用する事業場に義務付けられてきました(労働安全衛生法第66条の10)。一方、50人未満の事業場は「実施するよう努めなければならない」という努力義務にとどまっており、罰則は設けられていませんでした。

この状況が変わったのが2025年5月です。2025年5月14日に改正労働安全衛生法が公布され、50人未満の事業場へのストレスチェック義務化が法律上、正式に決まりました。ただし、同法では施行日を「公布から3年以内に政令で定める」と規定するにとどめており、具体的な日付は示されていませんでした。

そして2026年5月18日の労働政策審議会・安全衛生分科会において、「施行日を2028年4月1日とする方針」が示されました。これは審議会による方針段階であり、最終的には政令の公布をもって正式確定します。ただし、準備の観点から「2028年4月1日」を前提に動くことが現実的です。

時期できごと
2015年12月ストレスチェック制度スタート(50人以上の事業場に義務化)
2025年5月14日改正労働安全衛生法 公布。50人未満への義務化が決定(施行日は政令で指定)
2026年2月25日厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」公表
2026年5月18日労働政策審議会・安全衛生分科会で「2028年4月1日施行」方針が示される
2028年4月1日(予定)50人未満の事業場にストレスチェック義務化(方針。政令で最終確定)
2029年3月31日(予定)最初のストレスチェック完了期限
「2028年4月はまだ先」と感じるかもしれませんが、実施者の確保・外部委託先の選定・社内ルール整備には最低でも6〜12か月かかります。「決まった時点で準備スタート」が理想的なタイミングです。

自社は対象になるか――「50人」の数え方

「事業場」単位で考える

ストレスチェックの義務はあくまで「事業場」単位で判断します。会社全体の従業員数ではなく、個々の事業場(オフィス・工場・店舗など)の人数が基準です。

たとえば、従業員が合計80人いる会社でも、本社(40人)と支社(40人)が別の事業場として独立していれば、それぞれが50人未満の事業場として扱われます。逆に、今は50人未満でも、採用・統廃合によって50人を超えれば、現行の義務化対象になります。

「常時50人未満」の判断基準

「常時使用する労働者数」には、パート・アルバイト・契約社員も含まれます。週の労働時間が通常の4分の3以上であれば原則カウントします。年間を通じて常態的に50人未満かどうかで判断するため、繁忙期だけ一時的に50人を超える場合は対象外になることもあります。不明な場合は所轄の労働基準監督署に確認してください。

事業場ごとの常時使用労働者数を入力すると、会社全体でストレスチェックの実施義務があるかを判定できます。下のツールで確認してみましょう。

2028年4月までの準備タイムライン

義務化まで約2年。焦る必要はありませんが、後回しにすると一気にしわ寄せが来ます。年次ごとの目安を以下に示します。

2026年度(今年度):情報収集と方針決定

まず経営者・人事担当者が制度の全体像を把握し、自社の対応方針を決める段階です。

  • 厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」(令和8年2月公表)を読む
  • 「外部委託」か「内製」かの大枠を検討する
  • 地域の産業保健総合支援センター(さんぽセンター)に無料相談を申し込む
  • 利用できる助成金の最新情報を確認する

2027年度:実施体制の構築

外部委託先・実施者の選定と、社内ルール整備を完了させる年度です。

  • 実施者(医師・保健師等)の確保、または外部委託先との契約締結
  • 実施事務従事者の指名と研修(注:人事権を持つ管理職は担当不可)
  • 社内規程・実施方針の策定(個人情報保護ルールを含む)
  • 従業員への制度説明・周知活動の開始
  • 試行実施を行い、運用フローの確認・修正

2028年4月〜:義務化スタート・初回実施

義務化初年度は年1回の実施が必要で、2029年3月31日までに完了させることが求められます(最初の事業年度の終わりまで)。

  • 調査票の配布・回収・結果通知(受検者本人へ)
  • 高ストレス者への面談申し出の勧奨
  • 集団分析の実施と職場改善への活用
  • 50人以上の事業場では必要な労働基準監督署への報告は、50人未満事業場には課されない見込み

小規模事業場が直面する4つの課題と対策

課題1:実施者を誰に頼むか

ストレスチェックの「実施者」は、医師・保健師のほか、厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師が担えます。社内に該当者がいない50人未満の事業場では、以下の外部リソースを活用するのが現実的です。

  • 地域産業保健センター(地さんぽ):50人未満の事業場向けに医師の面接指導を無料で提供。都道府県内の各地域に設置されており、ストレスチェックの実施支援も対応しています。
  • 外部EAP・メンタルヘルス機関:実施者の選任から調査票の配布・回収・結果通知・高ストレス者対応までをパッケージで委託できます。費用は従業員1人あたり年間500〜1,500円程度が目安です。
  • 産業保健総合支援センター(さんぽセンター):無料相談や研修を実施しており、地域の実施機関の紹介も受けられます。

課題2:個人情報の保護をどう設計するか

少人数の職場ほど「誰が高ストレス者かわかってしまう」という不安が広がりやすく、回答率に直結します。制度上、個人の結果は本人の同意なしに会社(事業者・人事部門)には提供されません。外部委託を選ぶことで、会社のスタッフが個人データに触れない仕組みを作れるため、プライバシー保護の観点からも外部委託が推奨されています。

課題3:費用をどう工面するか

外部委託の場合、従業員20人の事業場であれば年間1〜3万円程度が目安です。さらに以下の公的支援で実質負担を下げられます。

  • 小規模事業場産業医活動助成金(独立行政法人労働者健康安全機構):産業医・保健師と契約してストレスチェック等を実施した場合に費用の一部を助成する制度です。助成額・申請条件は年度ごとに変わるため、独立行政法人労働者健康安全機構の公式サイト(johas.go.jp)で最新の内容を必ずご確認ください。
  • 地域産業保健センターの無料支援:実施者の提供・面接指導が無料で受けられます(医師による面接指導を含む)。

課題4:集団分析の有効活用

50人未満の事業場では、集団分析の対象グループが小さいため、個人が特定されるリスクへの配慮が必要です。厚生労働省のマニュアルでは、集団分析を行う最小グループ人数の目安として10人以上を推奨しており、グループが小さすぎる場合は部署をまとめるか、分析そのものを行わない選択も示されています。

「集団分析できないなら意味がない」ではなく、少人数でも「全社集計」として傾向を把握することはできます。データを根拠に経営者が職場改善の方針を決められる点が、ストレスチェックの本来の価値です。

現行の努力義務との違い――罰則はどう変わるか

現状(努力義務段階)では、50人未満の事業場がストレスチェックを実施しなくても直接の罰則はありません。ただし、行政指導の根拠にはなります。

2028年4月1日施行後(方針)は、義務化により未実施の場合は安全配慮義務違反に問われるリスクが生じます。また、従業員がメンタルヘルス不調を訴えた際の訴訟リスクを考えると、義務化前から体制を整えておくことがリスク管理上も重要です。なお、50人未満の事業場については、50人以上の事業場に課されている労働基準監督署への報告義務は課されない見込みです(省令の整備状況によって変わる可能性があるため、最新情報を確認してください)。

今すぐできる3つのアクション

まだ2年弱の準備期間があります。今日から始められる3つのアクションを挙げます。

1. 厚生労働省の公式マニュアルを読む
令和8年(2026年)2月に公表された「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」は、厚生労働省のウェブサイトで無料で入手できます。小規模事業場の実情に即した手順書であり、最初に読む資料として最適です。

2. 地域産業保健センターに問い合わせる
都道府県ごとに設置されている産業保健総合支援センター(さんぽセンター)では、50人未満の事業場向けに無料の個別相談を受け付けています。「何から始めればよいか」という段階から相談できます。

3. 外部委託の見積もりを取る
EAP機関・社会保険労務士・外部産業保健サービスに問い合わせ、自社の人数・業種での費用感を把握しておきましょう。比較検討には少なくとも数か月かかるため、早めに情報収集しておくことをお勧めします。

まとめ

  • 2025年5月14日公布の改正労働安全衛生法で、50人未満の事業場へのストレスチェック義務化が決定済み
  • 2026年5月18日の労働政策審議会・安全衛生分科会で「2028年4月1日施行」の方針が示された(政令公布で最終確定)
  • 最初のストレスチェック完了期限は2029年3月31日(方針)
  • 実施者の確保・外部委託先の選定には時間がかかるため、2026〜2027年度中に体制を整えることが現実的
  • 地域産業保健センターの無料支援・小規模事業場産業医活動助成金を積極的に活用する
よくある質問
50人未満の事業場のストレスチェック義務化はいつから始まりますか?
2026年5月18日の労働政策審議会・安全衛生分科会で「2028年4月1日施行」の方針が示されました。正式な施行日は政令の公布をもって確定しますが、2028年4月1日を前提に準備を進めることが現実的です。最初のストレスチェックの完了期限は2029年3月31日となる見込みです。
自社が50人未満かどうかはどのように確認するのですか?
「常時使用する労働者数」で判断します。パート・アルバイト・契約社員も週所定労働時間が通常の4分の3以上であれば原則カウントします。また、会社全体ではなく「事業場(オフィス・工場など)」単位で人数を見ます。不明な場合は所轄の労働基準監督署にご確認ください。
社内に産業医がいない場合、実施者を誰に頼めばよいですか?
外部のEAP機関・産業保健サービス会社・クラウド型サービスに委託するのが一般的です。費用は従業員1人あたり年間500から1,500円程度が目安です。なお、地域産業保健センター(地さんぽ)は面接指導を無料で依頼できる機関ですが、ストレスチェック自体の実施は担っていないため、実施者の確保は別途必要です。産業保健総合支援センター(さんぽセンター)では無料相談を受け付けています。
2028年4月までに何を準備しておけばよいですか?
2026年度中は情報収集と方針決定(外部委託か内製かの方針・さんぽセンターへの相談)、2027年度は実施者または外部委託先との契約・社内規程の整備・従業員への周知・試行実施が目安です。体制づくりには最低でも6から12か月かかるため、早めの着手をお勧めします。
ストレスチェックを実施しないと罰則はありますか?
現在(努力義務段階)は50人未満事業場への直接の罰則はありません。2028年4月1日の義務化施行後は、未実施の場合に安全配慮義務違反や行政指導のリスクが生じます。50人以上事業場と異なり、50人未満事業場については労働基準監督署への報告義務は課されない見込みですが、省令の整備状況によって変わる可能性があるため、最新情報を確認してください。
費用を抑えるための助成金や補助金はありますか?
「団体経由産業保健活動推進助成金」が活用できます。商工会・事業主団体が申請し、傘下の50人未満事業場向けにストレスチェック等の産業保健サービスを一括提供する形式です(令和7年度よりストレスチェック実施等が対象追加)。個々の企業が直接申請する形式ではないため、加入している商工会や事業主団体へご確認ください。なお、ストレスチェック実施促進のための助成金は令和4年度に廃止されています。
外部委託先を選ぶときに何を確認すればよいですか?
主に実施者の資格(医師・保健師・一定の研修修了看護師・精神保健福祉士・公認心理師等)が適切か、面接指導への対応(産業医紹介の有無)、集団分析レポートの質と対応人数の規模感、個人情報の取り扱い方針(個人情報保護法・安全衛生規則の要件への対応)、費用の総額(受検費用だけでなく実施者代行・面接指導・集団分析を含めた総額)の5点を確認するとよいでしょう。
義務化前に試行実施するときの注意点は何ですか?
試行実施時には、従業員への「現時点では義務ではなく任意の試行」であることの丁寧な説明、結果の取り扱い方針(誰が見るか・不利益に使わない旨)の事前周知、実施規程の策定(試行段階でも審議は衛生委員会または労使協議を経ることが推奨)の3点に注意が必要です。試行実施の結果を本番運用の改善に活かすことで、義務化後の円滑な運用につながります。
繁忙期に一時的に従業員が増える場合、50人以上・未満の判断はどうなりますか?
「常時使用する労働者」の人数は、年間を通じた平均的な状況で判断します。季節的な繁忙期にアルバイトが増えても、通常時に50人未満であれば「50人未満事業場」として扱われます。ただし、事業規模が成長して常時50人以上となった場合は、翌年度から50人以上の事業場として扱われます。判断に迷う場合は所轄の労働基準監督署または産業保健総合支援センターに相談することを推奨します。
義務化後、50人未満事業場も労基署への定期報告が必要になりますか?
2028年4月施行方針の時点では、50人未満事業場への労働基準監督署への定期報告義務は課さない方向で検討されています(50人以上事業場は毎年報告が義務)。ただし、具体的な義務の範囲は今後公布される省令で確定するため、最新の厚生労働省の情報を確認してください。報告義務がなくとも、実施記録・結果・面接指導記録は5年間保管することが推奨されます。

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