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ストレスチェックの実施者・実施事務従事者の違いと選び方|資格要件・兼任の可否・外部委託の判断基準

2026年5月10日 約4分で読めます
この記事のまとめ
  • ストレスチェックの「実施者」は医師・保健師・歯科医師・公認心理師のみなれる(資格必須)
  • 「実施事務従事者」は社内の人事・総務担当者でも担える役割(資格不要だが守秘義務あり)
  • 実施者は「結果の確定・高ストレス者の判定」を行い、事務従事者はその補助を行う
  • 実施者と実施事務従事者の兼任は認められているが、混同して役割が不明確になるケースが多い
  • 産業医が不在の場合は外部委託を検討し、50人未満は外部機関への委託が現実的な選択肢

ストレスチェックの「実施者」と「実施事務従事者」とは

ストレスチェック制度では、実施に関わる人を「実施者」と「実施事務従事者」の2種類に分けています。この区別は労働安全衛生規則に定められており、誰が何の役割を担うかを正しく理解することが適法な実施の前提です。

実施者とは:資格が必要な専門職

実施者になれる資格要件

実施者は、次のいずれかの資格を持つ者に限られます(労働安全衛生規則第52条の10)。

  • 医師(産業医に限らない)
  • 保健師
  • 歯科医師
  • 看護師(研修修了者に限る)
  • 精神保健福祉士(研修修了者に限る)
  • 公認心理師(研修修了者に限る)

2024年時点で、看護師・精神保健福祉士・公認心理師は「ストレスチェック実施者研修」を修了した者のみが実施者になれます。社内に該当資格者がいない企業は、外部の産業保健サービス機関や健診機関に委託することが一般的です。

実施者の主な役割

  • ストレスチェックの実施計画策定への関与
  • 調査票の選定・質問内容の決定
  • ストレスチェック結果の確定(高ストレス者の判定)
  • 高ストレス者への医師面接指導の勧奨
  • 集団分析の実施と事業者への報告

実施者は単に「受験した結果を集計する」だけでなく、判定・判断という専門的な行為を担います。そのため、資格が必要とされています。

実施事務従事者とは:社内担当者が担える補助役

実施事務従事者に資格は不要

実施事務従事者は、ストレスチェックの実施に関する事務作業(調査票の配布・回収・データ入力・結果通知など)を担う者で、特定の資格は必要ありません。人事部・総務部の担当者が兼任するのが一般的です。

実施事務従事者の主な役割

  • 調査票の配布・回収(紙または電子)
  • 受検者の管理・未受検者へのフォロー
  • データ入力・スコア計算(外部システムの場合は操作)
  • 実施者への情報提供・補助
  • 結果通知書の送付管理
  • 高ストレス者への面接指導申出の受付

守秘義務に注意

実施事務従事者は個人のストレスチェック結果に接する可能性があります。そのため、実施事務従事者には守秘義務が課されており、結果を事業者(人事権を持つ者)に無断で報告してはなりません。この守秘義務の徹底が制度への従業員の信頼確保に直結します。

「実施者」と「実施事務従事者」を兼任することは認められています。ただし役割の混同が起きやすく、「誰が何の責任を持つか」を明文化しておくことが、トラブル防止の観点から重要です。

実施者と実施事務従事者は兼任できるか

兼任の可否

実施者と実施事務従事者の兼任は制度上認められています。例えば、社内の産業医が実施者を担い、同時に集計・管理業務の一部も担当するケースがあります。また外部委託機関が実施者として結果を確定し、社内担当者が実施事務従事者として配布・回収を担う分担も標準的です。

兼任時の注意点

兼任で問題になりやすいのは「実施者の役割(専門的判断)」と「事務従事者の役割(補助的作業)」の境界が曖昧になることです。特に次の点を明文化しておきましょう。

  • 誰が高ストレス者の判定を行うか(実施者の専権事項)
  • 結果データへのアクセス権限を誰が持つか
  • 個人情報の取り扱い責任の所在

実施者を外部に委託すべきケースと判断基準

外部委託を検討すべき状況

以下のいずれかに該当する場合、外部委託が現実的です。

  • 社内に医師・保健師・歯科医師・公認心理師がいない
  • 産業医が非常勤で、ストレスチェック業務全般を担える時間的余裕がない
  • 従業員50人未満で産業医の選任が義務でない(義務化後も同様)
  • 社内の人事担当者がストレスチェック制度に精通していない

委託先の種類

委託先特徴費用目安
クラウド型SaaS(EAP機関含む)低コスト・操作が簡単・集計自動化1人当たり300〜1,000円/年
健診機関・産業保健機関医師や保健師が実施者を担う・対面面談対応可1人当たり500〜2,000円/年
社労士・産業保健コンサルタント中小企業に多い・実施事務のサポートも対応月額契約が多い

50人未満の中小企業はどうすべきか

2026年の法改正(令和7年5月公布)により、50人未満の事業場にも段階的にストレスチェック義務が及ぶ方向です(施行日は政令で確定待ち)。実施者を社内で確保するのが難しい中小企業は、クラウド型SaaSか産業保健機関への一括委託が現実的な選択肢です。

労働者健康安全機構(JOEHS)の産業保健総合支援センターでは、50人未満企業向けの無料相談・支援を提供しています。まずは最寄りのセンターに問い合わせることも有効です。

よくある質問
ストレスチェックの実施者に資格は必ず必要ですか?
はい、必要です。実施者になれるのは医師・保健師・歯科医師・看護師(研修修了)・精神保健福祉士(研修修了)・公認心理師(研修修了)のいずれかの資格を持つ者に限られます(労働安全衛生規則第52条の10)。資格のない社員が実施者を担うことは法律上認められていません。
産業医がいない場合、誰が実施者になれますか?
産業医以外の医師・保健師・歯科医師などの有資格者であれば実施者を担えます。社内に該当者がいない場合は、健診機関・EAP機関・クラウド型ストレスチェックサービスに委託するのが一般的です。50人未満の事業場は産業保健総合支援センターの無料支援も活用できます。
人事担当者は実施者になれますか?
実施者にはなれません。人事担当者は「実施事務従事者」として調査票の配布・回収・データ管理などの補助業務を担うことができますが、結果の確定(高ストレス者の判定)は実施者の専権事項です。ただし、人事権のある者は実施事務従事者にもなれないため注意が必要です。
実施事務従事者に人事権のある上司はなれますか?
なれません。厚生労働省のガイドラインでは、実施事務従事者に「人事権を持つ者(役員・部長・課長など)」が加わることを禁じています。個人の結果が人事評価に流用されることを防ぐための規定です。実施事務従事者は人事権のない担当者(総務・経理など)が適任です。
ストレスチェックを外部に委託した場合、実施者は委託先になりますか?
はい、外部委託の場合は委託先機関の医師・保健師などが実施者を担います。この場合でも「実施者が誰か」を書面(委託契約書・実施計画書)に明記しておくことが必要です。実施者の氏名は労働基準監督署への報告書(様式第6号の2)にも記載義務があります。
実施事務従事者が知り得た個人情報はどのように管理すべきですか?
実施事務従事者には守秘義務が課されており、個人のストレスチェック結果を事業者(人事権者)に無断で提供することは禁止されています。結果データは暗号化・アクセス制限のかかった環境で管理し、閲覧権限者を最小化してください。データの保存期間は5年間が原則です。

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