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開発

ストレスチェック57項目の質問とは?職業性ストレス簡易調査票の選び方ガイド

2026年4月25日 約7分で読めます
この記事でわかること
  • 職業性ストレス簡易調査票(57項目)の3つの領域と各質問の意味
  • 80項目版との違いと、どちらを選ぶべきかの判断基準
  • 自社オリジナル調査票の作成可否と法的要件
  • 集団分析ツールとの連携方法
  • 50人未満の中小企業に適した調査票の選び方

「ストレスチェックの調査票って、何を使えばいいの?」「57項目と80項目、どっちを選ぶべき?」

ストレスチェック制度の担当になったとき、多くの実務担当者がぶつかる疑問です。この記事では、厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」の構造と特徴、80項目版との違い、自社への適切な調査票選定の基準まで、システム開発の視点も交えて解説します。

職業性ストレス簡易調査票とは何か

開発の背景

職業性ストレス簡易調査票は、NIOSH(米国国立労働安全衛生研究所)の職業性ストレスモデルをベースに、1990年代後半から2000年代初頭にかけて下光輝一らの研究グループが開発(厚生労働省委託研究として公表)した日本の職場向けストレス測定ツールです。厚生労働省が「ストレスチェックの実施推奨ツール」として公式に採用しており、2015年のストレスチェック制度開始以来、国内で最も広く使われています。

57という数字は質問の総数を指します。A領域・B領域・C領域の3つのカテゴリに分かれており、それぞれ職場でのストレス状況を異なる角度から測定します。

厚生労働省が推奨する理由

数ある職業性ストレス測定ツールの中で、57項目版が「標準」とされる理由は以下のとおりです。

  • 信頼性と妥当性の検証済み:数万人規模のデータで科学的検証が済んでいる
  • 集団分析ツールが整備済み:厚生労働省が無料の「仕事のストレス判定図」を提供
  • 他事業場との比較が可能:全国平均データと比較した偏差値的スコアが得られる
  • 外部委託サービスが対応済み:ほぼすべてのストレスチェック委託サービスが対応

57項目の3領域と質問内容

A領域:仕事のストレス要因(17項目)

A領域は、働く環境や業務内容からくるストレスの「原因」を測定します。「量」と「質」という2つの軸から、どれだけストレスフルな状況にあるかを把握します。

サブカテゴリ 質問数 測定内容の例
仕事の量的負担 3 非常にたくさんの仕事をしなければならない、自分のペースで仕事ができない
仕事の質的負担 3 高度な知識・技術が必要、難しい仕事
身体的負担 1 身体を使う仕事(重い物を扱う等)
仕事のコントロール 3 自分で決定できる、自分のペースで進められる
技能の活用 1 自分の技能や知識を活かせる
対人関係のストレス 3 職場の人間関係のトラブル、信頼できる上司
職場環境 1 勤務場所の快適さ
仕事の適性度 1 仕事が自分に合っているか
働きがい 1 仕事に意義や達成感を感じられるか

A領域のスコアが高いほど、仕事からのストレスが大きいことを意味します。特に「仕事の量的負担」と「コントロール感の低さ」が重なると、ストレス反応が出やすいことが研究で示されています。

B領域:心身のストレス反応(29項目)

B領域は、ストレスによって実際にどのような心身の「反応」が起きているかを測定します。精神的・身体的の両面から29の質問で詳細に評価します。

サブカテゴリ 質問数 測定内容の例
活気(ポジティブ指標) 3 活気がわいてくる、元気がいっぱいだ、生き生きしている
イライラ感 3 怒りを感じる、内心腹立たしい、イライラしている
疲労感 3 ひどく疲れた、へとへただ、だるい
不安感 3 ゆううつだ、何をするのも面倒だ、物事に集中できない
抑うつ感 6 気分が沈んでいる、何をするのも億劫、自分が役に立たない
身体愁訴 11 頭が痛い、首や肩がこる、腰が痛い、目が疲れる、動悸・息切れ等

B領域は「ストレス反応」なので、スコアが高い(ネガティブ反応が多い)ほど問題があることを示します。ただし「活気」については逆スコアで、高いほど良い状態です。この非対称性は集計時に注意が必要で、システム化する際のポイントでもあります。

C領域:周囲のサポート(11項目)

C領域は、上司・同僚からのサポートが受けられているかを測定します。同じストレス要因があっても、周囲のサポートが充実していれば影響が緩和されることが知られています(バッファー効果)。

サブカテゴリ 質問数 測定内容の例
上司からのサポート 4 上司は親身になってくれる、上司は相談に乗ってくれる
同僚からのサポート 4 同僚は親身になってくれる、同僚は助けてくれる
仕事のしやすさ 3 非常にやりにくい〜非常にやりやすい(全体評価)

C領域のスコアが低い(サポートが少ない)場合、A領域のストレス要因が高くてもサポートで緩和されず、B領域の反応が強く出る傾向があります。

80項目版との違い

ストレスチェックで使える調査票には、57項目版のほかに「職業性ストレス簡易調査票(80項目版)」も存在します。80項目版は57項目版をベースに、以下の要素を追加したものです。

比較項目 57項目版 80項目版
質問数 57問 80問
回答時間 5〜10分 10〜15分
追加要素 なし(標準版) 仕事と生活の調和、成長の機会、上司・部下関係の詳細など
集団分析ツール 厚生労働省が無料提供 独自集計が必要(または専用ツール)
他事業場との比較 可能(全国標準データあり) 困難(比較ベースデータが限定的)
おすすめ用途 法令対応・集団分析重視 組織開発・詳細な職場課題分析

どちらを選ぶべきか

2026年の義務化対応を考えている50人未満の中小企業には、57項目版をまず選ぶことを強く推奨します。理由は以下のとおりです。

  • 外部委託サービスが57項目版に最適化されており、追加費用なく使えるケースが多い
  • 厚生労働省の無料集団分析ツール(仕事のストレス判定図)が即日使える
  • 従業員の回答負担が少ないため、回答率を高めやすい
  • 全国比較データで自社のストレス水準を客観的に評価できる

80項目版は、ストレスチェック制度が軌道に乗ったあとに「もっと詳しく職場の課題を分析したい」という段階でのステップアップとして検討するとよいでしょう。

自社オリジナル調査票は作れるか

法的要件

労働安全衛生規則では、ストレスチェックに使う調査票に対して「以下の3つの領域を含むこと」という要件を定めています。

  1. 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目(=A領域相当)
  2. 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目(=B領域相当)
  3. 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目(=C領域相当)

つまり、「A・B・C領域の3つをカバーしていれば」自社オリジナルの調査票を作ることは法的に可能です。

自社作成のデメリットと現実的な選択

ただし、自社作成にはいくつかの重大なデメリットがあります。

  • 信頼性・妥当性の担保が困難:科学的に検証された標準版と同等の精度を確保するには専門知識が必要
  • 集団分析の比較基準がない:自社データしかなく、業界水準や全国平均との比較ができない
  • 委託業者が対応できない場合がある:独自調査票には対応していない外部サービスが多い
  • 実施者の合意が必要:医師・保健師などの実施者が調査票の内容に合意することが求められる

現実的には、「57項目版をベースに自社の業種特有の項目を追加する」という形がとられることがあります。この場合、追加項目は法令上の集計対象外として扱い、あくまで自社内の参考情報として使うのが安全です。

システム開発・SaaS選定との関係

調査票選定がシステム要件に影響する

ストレスチェックのシステム(SaaSまたは自社開発)を選定する際、調査票の種類は重要な要件定義の一要素です。

  • 57項目版対応:ほぼすべてのSaaSが対応。自社開発でもスコア計算ロジックが標準化されている
  • 80項目版対応:対応SaaSは限られる。自社開発ではスコアリングロジックの実装が必要
  • カスタム調査票対応:対応SaaSは少数。自社開発であれば柔軟に対応可能

集団分析の自動化とシステム連携

57項目版を使う場合、集団分析の仕組みが標準化されているため、以下の連携が比較的容易に実現できます。

  • 部署別・年代別の自動集計ダッシュボード
  • 「仕事のストレス判定図」に相当するスコア可視化
  • 前年比較による変化トレンドの表示
  • 高ストレス者の自動フラグ・通知機能

自社の人事システムや勤怠管理システムとのデータ連携を考えている場合は、ストレスチェックシステムのAPI連携ガイド|人事・勤怠・健康管理との統合も参考にしてください。

50人未満企業の調査票選定まとめ

2026年の義務化対応を控えた50人未満の中小企業が調査票を選ぶ際の意思決定フローをまとめます。

  1. まず57項目版を選ぶ:法令対応・外部委託・無料集団分析ツールと相性が最良
  2. 外部委託を使う場合:委託先が57項目版に対応しているか確認(ほぼ全社が対応)
  3. 自社でシステム構築する場合:57項目版のスコアリングロジックを実装、集団分析ダッシュボードを開発
  4. 特殊な要件がある場合:カスタム調査票の追加が必要か実施者と相談

ストレスチェック制度全体の流れ(準備〜結果通知〜高ストレス者対応)については、ストレスチェック50人未満の義務化対応ガイド【2026年版】で詳しく解説しています。また、助成金を活用した費用削減についてはストレスチェック助成金まとめ【2026年最新】を参照してください。

システム開発者からひとこと
「ストレスチェックシステムの開発案件では、調査票を57項目版に統一することを前提に設計するのが鉄則です。スコアリングロジック(特にB領域の活気スコアの逆転処理)と高ストレス者判定のアルゴリズムを正確に実装することが、法令対応と個人への正確なフィードバックの両立につながります。自社でシステムを持つと、毎年の実施コストを大幅に削減しながら、独自の集団分析ダッシュボードで経営判断に役立てることができます。」

まとめ

  • 職業性ストレス簡易調査票(57項目)はA・B・C領域の3つのカテゴリで構成され、厚生労働省推奨の標準ツール
  • 80項目版は詳細な組織分析に向くが、回答負担増・比較データ不足のデメリットあり
  • 50人未満の中小企業には57項目版が最適解
  • 自社作成は法的に可能だが、信頼性確保が難しく実務的には推奨されない
  • システム選定時は57項目版への対応と集団分析の自動化を優先する
よくある質問
ストレスチェックは57項目と80項目どちらを使うべきですか?
厚生労働省は57項目版(職業性ストレス簡易調査票)を推奨しており、ほとんどの企業はこれで十分です。80項目版は付加質問(職場環境や同僚サポートなど)を加えたもので、より詳細な分析が必要な企業や産業保健活動に積極的に取り組む企業向けです。初めて実施する企業や中小企業は57項目版から始めることをお勧めします。
ストレスチェックの調査票を自社オリジナルで作ることはできますか?
可能ですが、厚生労働省が定める「ストレスチェック制度の手引き」に記載された必須項目(仕事のストレス要因・心身のストレス反応・周囲のサポート)を含める必要があります。ただし独自の追加質問は認められています。実務上は57項目版の標準調査票をそのまま使用する企業がほとんどです。
57項目の回答に何分かかりますか?
個人差はありますが、おおよそ5〜10分程度で回答できます。紙での実施よりもシステムを使ったオンライン実施のほうが回答しやすく、回答率も高まる傾向があります。
57項目版の集団分析ツールは無料で使えますか?
厚生労働省が提供する「職業性ストレス簡易調査票を用いたストレスチェック実施プログラム」は無料で利用できます。集団分析機能も含まれており、50人以上の事業場では集団分析と職場環境改善に活用することが努力義務とされています。
ストレスチェックの調査票は何年ごとに更新されますか?
職業性ストレス簡易調査票(57項目)は1997年に開発されて以降、基本的な質問内容は変わっていません。ただし2024〜2025年に厚生労働省の研究班が採点基準・標準値の見直しを進めており、近い将来に改訂される可能性があります。最新の厚生労働省通達を定期的に確認することをお勧めします。
ストレスチェックの57項目、実際にはどんな質問が含まれますか?
大きく3つの領域に分かれています。①仕事のストレス要因(17項目):仕事の量・質・裁量権・職場環境など。②心身のストレス反応(29項目):活気・イライラ感・疲労感・身体愁訴など。③周囲のサポート(11項目):上司・同僚・家族や友人からのサポート。すべて「そうだ」「まあそうだ」「ややちがう」「ちがう」の4択形式で回答します。
57項目のストレスチェック結果を労基署に報告する必要がありますか?
常時50人以上の労働者を使用する事業場は、毎年実施後に「ストレスチェック実施報告書(様式第6号の2)」を所轄の労働基準監督署に提出する義務があります(提出期限は実施後1年以内)。50人未満の事業場は現在は努力義務のため提出義務はありませんが、2028年4月1日を目標施行日とした義務化の方針が示されています(2026年5月公布の改正労安衛法)。
ストレスチェックで「高ストレス者」と判定された人への対応は?
高ストレス者と判定された労働者には、医師による面接指導を申し出る権利があることを伝える必要があります(通知は書面またはシステム経由で行う)。本人が希望した場合、事業者は産業医等による面接指導を実施し、必要に応じて就業上の措置(業務軽減・配置転換等)を講じます。面接を申し出た労働者を理由に不利益取扱いをすることは禁止されています。

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