- 受検勧奨とは何か・法律上の位置づけ(義務か任意か)
- 従業員への実施案内に盛り込むべき6つの要素
- 紙・Web・メール・社内チャット別の配布方法と注意点
- 案内文例(コピペ可)と送付タイミングの目安
- 受検率を上げるための工夫と注意事項
受検勧奨とは?法律上の位置づけを整理する
ストレスチェックの「受検勧奨」とは、事業者(会社)が従業員に対してストレスチェックの受検を促す行為のことです。
労働安全衛生法第66条の10は、常時使用する労働者50人以上の事業場に対してストレスチェックの実施を義務付けています(2028年4月1日施行方針で50人未満にも拡大予定)。一方、従業員側の受検は義務ではなく任意です。
ここで重要なのが「勧奨はできるが強制はできない」という原則です。
- 【適法】 受検を促す案内を出す、定期的にリマインドする → 適法
- 【適法】 未受検者に対して受検のメリットを説明する → 適法
- 【違法】 受検しない従業員を不利益に扱う(評価に影響させる・叱責する)→ 労安衛法第66条の10第9項違反
- 【違法】 「受けないと罰則がある」など虚偽の説明で強制する → 違法
勧奨の目的は「受けることの価値を伝え、受けやすい環境を整える」ことです。
実施案内に盛り込むべき6つの要素
受検率を上げるには、「なぜ受けるのか」「どうやって受けるのか」が従業員にわかる案内を作ることが出発点です。以下の6項目を押さえてください。
1. 目的と趣旨(なぜ実施するか)
「法律で義務付けられているから」ではなく、「自分のストレス状態を把握し、健康維持に役立てるため」という従業員目線の説明が受検率向上につながります。結果は個人のみに通知され、会社には渡らない(個人の同意なしに)旨も明示すると不安解消になります。
2. 受検方法・URL・受け取り場所
Web受検の場合はURLやQRコード、紙受検の場合は用紙の受け取り場所・提出先を具体的に記載します。「わからなくて受けられなかった」という状況を防ぐために、担当者の連絡先も入れておきましょう。
3. 実施期間(開始日・締切日)
「◯月◯日(曜日)〜◯月◯日(曜日)」と具体的な日付で記載します。「今月中」といった曖昧な表現は先延ばしを招きます。
4. 所要時間
「入力は約10〜15分で完了します」と伝えることで、「時間がない」という心理的ハードルを下げられます。
5. プライバシーの保護(結果の取り扱い)
「結果は本人のみに通知され、会社には知らされません。ただし、医師による面接指導を希望する場合は、本人の同意のもとで事業者へ提供されます」という説明を明記します。この一文が受検率に大きく影響します。
6. 受けない場合の扱い
「受検は任意です。未受検を理由に評価や処遇が変わることはありません」と明示することで、強制感をなくし受検しやすい雰囲気を作れます。
案内文例(コピペ可)
以下はWebシステムで実施する場合の案内文例です。実情に合わせて修正してご利用ください。
【ストレスチェック実施のご案内】
お疲れさまです。人事部・安全衛生担当の◯◯です。
今年度のストレスチェックを以下の日程で実施いたします。ストレスチェックは、自分自身のストレス状態を把握し、職場環境の改善に活かすことを目的としています。
実施期間:◯月◯日(月)〜◯月◯日(金)
受検方法:下記URLにアクセスしてご回答ください(スマートフォンでも可)
URL:(ここにシステムのURL)
所要時間:約10〜15分結果の取り扱いについて:
結果は本人のみに通知されます。会社への結果提供は、本人の同意がない限り行われません。受検の有無が評価・処遇に影響することはありません。ご不明点は人事部・安全衛生担当(◯◯@例.co.jp / 内線◯◯◯)までご連絡ください。
ご協力よろしくお願いいたします。
配布・送付の方法と注意点
Web・メール配信の場合
社内メールやビジネスチャット(Slack・Teamsなど)で案内を送る場合、以下の3点を意識してください。
- 全従業員への周知を徹底する(メーリングリストの漏れ・退職者への誤送信に注意)
- リマインドは1〜2回。期限3日前に再案内を送ると回答率が向上する傾向があります
- シフト勤務・夜勤者には紙での案内を併用する
紙配布の場合
- 配布と回収の手間を考慮し、担当者を明確にしておく
- 氏名を記載しない「匿名」を希望する従業員への対応方針を事前に決めておく(厚労省版57項目は無記名対応可)
- シュレッダー廃棄のフローを記入用紙の配布時に説明しておく
受検率を上げるための工夫
受検率が低いと集団分析の信頼性が下がり、職場環境改善の根拠が薄くなります。以下の工夫で受検率80%以上を目指しましょう。
- トップメッセージを付ける:代表や部門長からの一言(「健康は会社の財産です。ぜひ積極的に受検ください」)が受検率を高める事例が多くあります
- 産業保健スタッフからの説明機会を設ける:保健師・産業医からストレスチェックの意義を説明してもらうと理解が深まります
- 業務中の受検を認める:「業務時間内に受検してください」と明示することで、「忙しくてできなかった」という言い訳を防ぎます
- 個人結果のメリットを伝える:「自分のストレスプロフィールが一目でわかるレーダーチャートで確認できます」など、個人へのメリットを具体的に伝える
まとめ:受検勧奨のポイント
- 受検は任意。勧奨はできるが強制・不利益取扱いは法律違反
- 案内文には「目的・方法・期間・所要時間・プライバシー保護・受けない場合の扱い」の6要素を含める
- 期限3日前のリマインドが受検率向上に効果的
- シフト勤務者・夜勤者は紙+Webの併用を検討する
- 受検率80%以上を目指し、不足する場合は職場の心理的安全性と案内方法の両面から見直す
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