保守契約が終わる理由は、ほとんどが予算です。アップデートを続けるメリットを感じられないと、保守は継続しづらくなります。一方で、開発を伴わない最低限の保守ほど、いざというときの対応に時間がかかるようになります。
保守契約は、始めるときの話ばかりが語られます。しかし実際には終わりもあり、そこで何が起きるかはあまり書かれていません。この記事では、保守がどういう理由で終わるのか、そして「最低限だけの保守」を続けた場合に何が起きるのかを、開発会社側の実感として書きます。保守を売り込むための記事ではありません。判断材料として読んでいただくためのものです。
保守契約が終わるとき、理由はほとんど予算
お客様都合で保守が終わる場合、理由は予算の関係がほとんどです。他社に乗り換えるからでも、不満があるからでもなく、単純に費用の優先順位が下がる、という形で終わります。
システムは、放っておくと相対的に古くなる
ここで一つ、構造的な事実があります。システムは、何もしなくても相対的に古くなっていきます。自社のシステムが劣化するわけではなく、サーバーやライブラリといった土台の側が新しくなっていくためです。動いているように見えていても、周りとの差は開いていきます。
放置した場合に何が起きるかはセキュリティ更新を放置するリスクにまとめています。
アップデートのメリットが見えないと、保守は続かない
問題は、このバージョンアップという作業が目に見える変化を生まないことです。画面は変わらず、できることも増えません。それでも費用は毎月かかります。「これを続けるだけのメリットがあるのか」と問われたとき、明確に答えづらいのが正直なところです。
だからこそ、予算が厳しくなったときに真っ先に見直しの対象になります。ここを押し切って契約を続けていただくことは、こちらとしても難しいと考えています。
開発会社側の事情で終わることもありうる
担当者の退職や、会社の方針転換
FUNBREWではまだ経験がありませんが、開発会社の側の事情で保守が終わることもありえます。担当者が退職する、会社の方針が変わって特定の技術や領域から手を引く、といったケースです。
発注側として備えるとすれば、その保守が一人の担当者の記憶に依存していないかを気にしておくことです。属人的な状態は、開発会社側の事情が変わったときにそのまま自社のリスクになります。
保守の実態は「最低限」が多い
開発を伴う保守は、そこまで多くない
保守と聞くと、継続的な改善をイメージされるかもしれません。しかし実態としては、システムの改善も含めた開発を伴う保守はそこまで多くなく、サーバーの監視や、何かあったときの対応といった最低限の保守が中心です。予算の制約を考えれば、自然な形でもあります。
触っていないと、担当者も詳細を忘れる
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。最低限の保守を続けていると、次のことが起こります。
しばらく開発をしていないので、担当者もシステムの詳細を忘れる。
これは怠慢ではなく、人間の性質です。半年、一年と触らないシステムの細部を、正確に記憶し続けることはできません。そして忘れた状態から作業に入ると、まず思い出すところから始まります。結果として、消極的な保守ほど、いざ何かあったときのメンテナンスに時間がかかるようになります。
| 保守の形 | 起きること |
|---|---|
| 改修を含む保守 | 定期的に触るため、システムの状態が担当者の頭に残る |
| 監視のみの最低限の保守 | 触る機会がなく、いざというとき思い出すところから始まる |
消極的な保守を選ぶときに知っておくこと
誤解のないように書くと、最低限の保守が間違いだという話ではありません。予算に限りがある以上、多くの場合はそれが現実的な選択です。ただし、選ぶ際に次のことは知っておいてください。
- 緊急時の初動は、思ったより速くならない —— 契約があっても、久しく触っていないシステムの調査には時間がかかります。
- 「何もない月」が続くことが正常 —— 保守は保険に近い性質のもので、多くの月は何も起きません。それ自体は無駄ではありません。
- 最低ラインだけは落とさない —— サーバーやプログラムのバージョンアップは、予算が厳しくても止めない方がよい部分です。詳しくは中小企業のシステムセキュリティはどこまでやるかに書きました。
なお、保守の工数が余ったときに機能改修へ充てるという契約の形もあります。掛け捨てで終わらせず、触る機会を意図的に作る考え方です(FUNBREWの保守プラン)。
まとめ
保守契約が終わる理由は、ほとんどが予算です。システムは何もしなくても相対的に古くなりますが、バージョンアップは目に見える変化を生まないため、続けるメリットを感じづらく、見直しの対象になりやすいという構造があります。
また、保守の実態は開発を伴わない最低限のものが中心です。その場合、担当者がシステムの詳細を忘れるため、いざというときのメンテナンスに時間がかかるようになります。消極的な保守を選ぶ場合は、この点を織り込んだうえで判断してください。
保守の形や、最低ラインだけを残す進め方についてもご相談を承ります。お問い合わせよりご連絡ください。
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