- IT担当者がいない中小企業のシステム保守が抱えるリスク
- 外注・ベンダー保守・SaaS移行の3アプローチの特徴と費用感
- 自社に合ったアプローチの選び方
- 保守委託先を選ぶときの5つの確認ポイント
- 最低限の社内体制と記録の整え方
「IT担当者がいない」状態でシステムを動かし続けるリスク
「担当者が退職してシステムのことがわかる人がいない」「もともと社内にエンジニアはおらず、開発を外注して作ったシステムを誰も保守できていない」。こうした状況を抱える中小企業は少なくありません。
IT担当者がいない状態でシステムを放置すると、以下のリスクが現実になります。
- セキュリティの脆弱性:ソフトウェアのアップデートが止まると、既知の脆弱性を突かれるリスクが高まります
- 障害時の対応遅延:誰が何をすべきかわからないため、システム停止が長引きます
- コスト増大:放置期間が長いほど技術的負債が蓄積し、後からの修正コストが膨らみます
- ベンダーへの過度な依存:最初に作った開発会社以外が手を出せない「属人化」状態になります
取るべき3つのアプローチ
アプローチ1:外部の保守会社に委託する
IT担当者がいない場合、最も現実的な選択肢は外部の保守専門会社への委託です。月額固定で保守を請け負う会社であれば、障害対応・セキュリティ更新・定期確認を一括して任せられます。
費用目安:月額3万〜20万円(システムの規模・対応範囲による)
向いている企業:社内に技術的な判断ができる人が誰もいない、障害対応を自社で抱えたくない企業
ポイントは「何もしない保守」ではなく「障害対応・定期確認・報告書提出」がセットになっている会社を選ぶことです。保守委託の注意点については 保守契約の落とし穴|7つのチェックリスト をご参照ください。
アプローチ2:システムを作った会社(ベンダー)に保守を続けてもらう
もともとシステムを開発した会社が保守も担当している場合、そのまま継続依頼するのが最もスムーズです。ベンダーはシステムの内部構造を把握しており、問題解決が速い反面、以下のデメリットがあります。
- 価格交渉がしにくい(他社に移行しにくい構造になりやすい)
- ベンダーが廃業・サービス終了した際のリスクが高い
- 保守内容が「対応すれば良い」という受け身型になりやすい
ベンダー1社に全依存するリスクを軽減するため、ソースコードと仕様書の権利が自社にあるかを必ず確認してください。
アプローチ3:SaaS・クラウドサービスへ移行する
独自開発のシステムをSaaSに置き換えることで、保守の手間そのものをなくすことができます。特に、会計・勤怠・販売管理など汎用的な業務については有力な選択肢です。
向いている企業:業務プロセスが特殊でなく、市場のSaaSで代替可能な企業
注意点:移行コスト・データ移行・従業員の習熟時間が必要。独自機能があるシステムには向かない
SaaS移行の費用感は クラウド移行完全ガイド を参照してください。
保守委託先を選ぶときの5つの確認ポイント
外部委託するにあたって、以下の5点を必ず確認してください。
| 確認ポイント | なぜ重要か |
|---|---|
| 1. 対応範囲(障害対応・アップデート・報告書) | 「何もしない保守」を避けるため |
| 2. 応答・対応時間(SLA) | 業務時間外障害への対応可否の確認 |
| 3. 技術スタックへの対応可否 | 既存システムの言語・フレームワークに対応できるか |
| 4. 契約解除・引き継ぎ条件 | 乗り換えやすい構造かどうか |
| 5. 月次報告書の有無 | 保守の実績を可視化できるか |
詳しい委託先の選び方は システム保守の費用相場と選び方 および 保守委託後の品質確認方法 をご参照ください。
社内で最低限整えておくべき記録
保守を外注する場合でも、発注者側として最低限の記録を整えることが重要です。IT担当者がいないからこそ、「誰が見ても状況がわかる」記録が必要になります。
- システム構成図:どのサーバー・データベース・外部APIが動いているかを記録
- ログイン情報管理:管理者アカウントやAPI接続情報をパスワードマネージャー等で安全に管理
- 契約書・仕様書の保管場所:担当者が変わっても見つけられる場所に保管
- 障害対応フロー:障害発生時に誰に連絡すれば良いかを書面化
ドキュメントがない状態の引き継ぎ事例は 仕様書なしのシステム保守引き継ぎ が参考になります。
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