- 「24/365監視」が必須なシステムと不要なシステムの判断基準
- 監視レベル別(自動監視のみ/オンコール/有人24時間)の費用感
- 業務影響度マトリクスを使った監視レベルの選定方法
- 「下位プラン+オンコール」で24/365を代替する選択肢
- クラウド時代の自動監視ツール活用で費用を半減させる方法
- システム保守の費用相場と選び方 — 保守費用の総合ガイド(ピラー記事)
- サーバー保守の料金相場 — 月額・年額・作業別の内訳
- 保守コスト削減5選 — 品質を落とさず費用最適化
- クラウド移行と保守費用 — クラウド時代の費用構造
- 本記事 — 24/365監視の必要性判定(このページ)
「24/365監視」が必須/不要の二極化している現状
保守見積もりを取ると、ほぼ確実に「24/365監視」のオプションが提示されます。月額10万円〜30万円の追加費用が発生する重い選択肢ですが、提案する側は「念のため」と勧めてくることが多く、発注者は「本当に必要なのか判断できない」というケースが頻発しています。
結論から言うと、24/365監視が必須なシステムは中小企業の保守対象のうち2〜3割程度です。残り7〜8割は「自動監視+営業時間内対応+必要時オンコール」の組み合わせで十分カバーできます。本記事では、その判断基準と具体的な費用感を整理します。
4つの監視レベルと費用感
「監視」と一言で言っても、実態は4段階に分かれています。
| レベル | 監視内容 | 対応体制 | 月額目安 |
|---|---|---|---|
| L1: 自動監視のみ | 死活監視・閾値アラートのみ | 営業時間内に確認 | 1〜3万円 |
| L2: 自動監視+オンコール | L1+緊急時の電話/チャット待機 | 営業時間外もアラート対応 | 3〜10万円 |
| L3: 有人監視(営業時間外も含む) | 担当者がアラートを能動確認 | 夜間・休日も人が見る | 10〜30万円 |
| L4: 完全24/365有人監視 | 常駐エンジニアが画面監視 | 365日24時間1名以上常駐 | 50万円〜 |
世間一般に「24/365監視」と呼ばれるのはL3〜L4です。L4は金融機関・医療系など極めて高い可用性が求められるシステム向けで、中小企業の業務システムでは過剰なケースがほとんどです。
業務影響度マトリクスで判定する
適切な監視レベルは「業務停止が起きた場合の損失額」と「業務停止が許容される時間」の2軸で判定できます。
| 許容停止時間:1時間以内 | 許容停止時間:4時間以内 | 許容停止時間:24時間以内 | |
|---|---|---|---|
| 停止時損失:100万円超/h | L4(完全24/365) | L3(有人監視) | L3(有人監視) |
| 停止時損失:10〜100万円/h | L3(有人監視) | L2(オンコール) | L2(オンコール) |
| 停止時損失:10万円未満/h | L2(オンコール) | L1(自動監視) | L1(自動監視) |
多くの中小企業の業務システムは「停止時損失10〜100万円/h × 許容停止4時間」のセルに該当し、L2(オンコール)で十分なケースが多いのが実態です。
停止時損失の算出方法
「停止時損失」は以下の3要素を合算して算出します。
- 直接損失: 停止時間中の販売機会損失(ECなら時間売上、業務システムなら作業停止コスト)
- 間接損失: 顧客信頼の低下、SNS拡散リスク、解約・返金対応コスト
- 復旧コスト: 緊急対応の人件費、データ復旧費用、再発防止策の費用
例: 月商3,000万円のECサイトの場合、1時間あたり売上は約4万円(24時間換算)。土日深夜のCVRが平日の50%として2万円/h。これに間接損失(顧客信頼)と復旧コストを乗せると、停止時損失は5〜10万円/h程度。マトリクスで「10万円未満〜10〜100万円」の境界に位置します。
「下位プラン+オンコール」で24/365を代替する
L3(月額10〜30万円)が予算的に厳しい場合、L2のオンコール体制に「営業時間外の重大障害時のみ電話対応」を組み合わせることで、実質的にL3相当のリスクカバーが可能です。
| 項目 | L3(有人監視) | L2+オンコール代替 |
|---|---|---|
| 月額固定費 | 10〜30万円 | 3〜10万円 |
| 夜間・休日の従量費 | —(含む) | 1回 3〜5万円(発生時のみ) |
| 年間想定コスト(障害4回/年) | 120〜360万円 | 48〜140万円 |
| 初動の遅さ | 5〜10分 | 15〜30分 |
初動が15〜30分の遅延を許容できるなら、年間100〜200万円のコスト削減が可能です。保守コスト削減5選でもこの考え方を解説しています。
自動監視ツール活用で費用を半減する
有人監視に依存するL3〜L4は人件費が中心です。一方、L1〜L2は自動監視ツールの精度向上で実質的な監視品質を大きく上げられます。
| 監視ツール/サービス | カバー範囲 | 月額目安 |
|---|---|---|
| Mackerel/Datadog/New Relic | サーバー・APM・ログ統合監視 | 1〜10万円 |
| UptimeRobot/Pingdom | 外形監視(HTTP死活) | 無料〜1万円 |
| AWS CloudWatch/GCP Cloud Monitoring | クラウドリソース監視 | 1〜3万円(従量) |
| Sentry/Bugsnag | エラー監視・通知 | 無料〜2万円 |
| PagerDuty/Opsgenie | オンコール通知ローテーション | 1〜3万円 |
これらを組み合わせれば、L1+L2の監視を月額5〜15万円で実現できます。クラウド前提のシステムならクラウド移行と保守費用の関係でも触れているとおり、CloudWatch等の標準監視で多くがカバーできます。
クラウド時代の24/365監視の考え方
クラウドネイティブなシステムでは、自動監視+自己回復(Auto Healing)を組み合わせることで、有人監視への依存度を大幅に下げられます。
自動回復の仕組み例
- EC2 Auto Recovery: インスタンス障害時にAWS側が自動再起動
- Auto Scaling Group: 異常インスタンスを自動置き換え
- RDS Multi-AZ: DB障害時に自動でスタンバイへフェイルオーバー
- Kubernetes: 異常Podの自動再起動
これらを適切に設計すれば、夜間障害の80%は人手なしで自動復旧します。「24/365有人監視」より「自動回復+オンコール(重大時のみ)」の方が、コスト効率も復旧スピードも優れるケースが多いのが実態です。
中小企業向けの推奨パターン
| システム特性 | 推奨レベル | 月額目安 |
|---|---|---|
| 社内業務システム(営業時間中心の利用) | L1+営業時間内対応 | 5〜10万円 |
| BtoB Webサービス(24時間アクセスあり) | L2+オンコール | 10〜20万円 |
| BtoC EC・予約サービス(夜間休日に売上) | L2+夜間オンコール | 15〜30万円 |
| 金融・決済系(停止時損失が極大) | L3+L4ハイブリッド | 50万円〜 |
| 医療・公共系(停止が許容されない) | L4(24/365有人) | 100万円〜 |
多くの中小企業の保守は「L2+オンコール」で十分カバーできます。「念のための24/365」を選ぶ前に、自社システムの停止時損失を一度数字で出してみてください。
監視レベルを選ぶときの3つのチェックポイント
1. アラートの設定が適切か
L3〜L4の有人監視を入れても、アラート設定が雑だと「狼少年化」して反応しなくなります。重要度別のアラート分類(Critical/Warning/Info)と、Critical時のみ電話通知などのフィルタリングが必須です。
2. 復旧手順書(Runbook)が整備されているか
夜間に誰かがアラートを受けても、復旧手順書がないと対応できません。「アラート種別ごとの初動手順」を明文化することで、L1+オンコールでも実質的にL3相当のスピードを実現できます。
3. 監視ベンダーと開発ベンダーが分かれていないか
監視会社と開発会社を分けると、障害時の責任所在が曖昧になり、初動が遅れます。中小企業では「保守=開発した会社が監視も担当」のシンプルな構造が安全です。保守会社の比較サンプルでも触れています。
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まとめ
24/365監視は「あったほうがいい」のは間違いありませんが、中小企業の業務システムで本当に必要なケースは2〜3割程度です。
- 監視には4レベル(L1〜L4)あり、L2(自動監視+オンコール)が中小企業の標準
- 停止時損失と許容停止時間の2軸マトリクスで適切なレベルを判定する
- L3を選ぶ前に「下位プラン+オンコール」で代替できないか検討する
- クラウドの自動回復機能を活用すれば、有人監視への依存度を下げられる
「現在の保守プランで監視レベルが過剰/不足ではないか」のセカンドオピニオンも承っています。お問い合わせからどうぞ。FUNBREWの保守サービスでは業務影響度に応じた最適な監視レベルをご提案しています。
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