ストレスチェックOEM事業(ホワイトラベル提供)を始めても、最大の壁となるのが「最初の数社をどう獲得するか」です。商品(ストレスチェックシステム)はOEMパートナーから提供されますが、顧客との接点づくりと契約締結は代理店側の責任になります。
この記事では、社労士・健診機関・産業医紹介サービス・EAP事業者という主要4業種を想定し、それぞれの強みを活かしたチャネル戦略をまとめます。OEM事業を立ち上げたばかりの方も、すでに数社契約していて伸び悩んでいる方も、自社のフェーズに合った打ち手が見つかるはずです。
OEM代理店の集客チャネル4分類
ストレスチェックOEM代理店が活用できる主要チャネルは、以下の4つに整理できます。
| チャネル | リード単価 | 立ち上げ難易度 | 向いている業種 |
|---|---|---|---|
| ①既存顧客深耕 | 低 | 易 | 社労士・産業医紹介・EAP(すでに顧客リストあり) |
| ②同業ネットワーク紹介 | 低 | 中 | 社労士(士業会・支部活用) |
| ③Web集客(SEO/SNS) | 中 | 中〜難 | 健診機関・大手代理店 |
| ④業界団体・展示会 | 中〜高 | 難 | 健診機関・産業医紹介サービス |
新規参入直後は①既存顧客深耕を主軸に置き、3〜6か月かけて②同業ネットワークと③Web集客を立ち上げるのが現実的な順序です。④は予算と人員を確保できる段階になってから検討します。
業種別のチャネル戦略
社労士向け:既存クライアントへの追加提案
社労士事務所は、就業規則作成・労務相談・給与計算などの顧問契約を通じて、すでに「人事労務領域の信頼パートナー」というポジションを獲得しています。この信頼を活用して、既存クライアントへのストレスチェック提案が最短ルートです。
- 提案タイミング:年次の労務監査時、就業規則更新時、衛生委員会発足時。「義務化への備え」「衛生委員会の議題として活用」など、労務リスクとセットで提示すると受け入れられやすくなります。
- 提案ロジック:50人以上の事業場はストレスチェック実施が義務(労働安全衛生法第66条の10)。50人未満も令和7年5月14日公布の改正法で施行3年以内に義務化される方針です(施行日は政令で確定予定)。「いずれ義務化される前に体制を整えておきたい」というニーズを引き出します。
- 士業ネットワーク:都道府県社労士会の支部勉強会、地域の士業交流会で「ストレスチェック対応に困っている社労士はいませんか?」とアプローチ。OEM代理店を兼業する社労士からの紹介経路を作ります。
健診機関向け:健診シーズン提案とバンドル販売
健診機関(人間ドック・定期健診を提供する医療機関や代行会社)は、企業の健康診断と同時にストレスチェックを提案できる強力なポジションを持っています。
- 提案タイミング:法定健診の受託契約更新時、健康保険組合への提案時、毎年4〜6月の健診シーズン開始前。健診とストレスチェックを「年次健康管理パッケージ」として一体提案すると、企業側も発注先を一本化できるメリットがあります。
- 提案構成:①基本健診(A/Bコース)、②ストレスチェック(OEMで自社ブランド提供)、③健康相談(産業医面談オプション)の3階層をパッケージ化。健診単価に対してストレスチェックは1人500〜1,000円台で追加でき、客単価の上乗せに繋がります。
- 差別化軸:「健診結果と一緒に閲覧できる」「健康保険組合への報告に活用できる」など、健診機関ならではの強みをセットで打ち出します。
産業医紹介サービス向け:契約企業への追加提案
産業医紹介サービスは、企業に産業医を派遣・紹介する事業者です。すでに「企業の産業保健担当者」と継続的な接点があるため、産業医契約とセットでストレスチェックを提案できます。
- 提案タイミング:産業医契約の更新時、新規派遣開始時、産業医訪問の四半期レビュー時。「産業医がストレスチェックの実施者を兼ねる」体制が組めるため、企業側の業務効率化メリットが大きい提案になります。
- 提案ロジック:高ストレス者面接指導は産業医が担当することが多く、ストレスチェックの実施事務従事者と面接指導医を同じ窓口で完結できる「ワンストップ運用」を訴求します。
- 運用面の強み:産業医訪問時にストレスチェック結果(集団分析)を一緒にレビューでき、「衛生委員会の議題」「職場環境改善計画」へ自然に接続できます。
EAP事業者向け:既存契約への組み込み
EAP(従業員支援プログラム)事業者は、メンタル相談・カウンセリング・復職支援を提供しており、ストレスチェックとの親和性が高い業種です。
- 提案タイミング:EAP契約の年次更新時、追加サービス提案時。すでに「メンタル領域の社外パートナー」として認知されているため、ストレスチェック追加の障壁が低いのが特徴です。
- 提案ロジック:ストレスチェック → 高ストレス者抽出 → EAPカウンセリング への一気通貫の支援フローを訴求。企業側は「相談先がバラバラ」問題を解消でき、EAP事業者は契約継続率と単価アップを両立できます。
- 差別化軸:「結果データから自動的にEAP案内をできる」「個人情報の取り扱いを一元化できる」など、データ連動のメリットを前面に。
初回接点で使えるトークスクリプト3パターン
パターン1:「義務化」を切り口に
「2026年5月に公布された改正労働安全衛生法で、これまで努力義務だった50人未満の事業場にもストレスチェック実施が義務化される方針です。施行は3年以内とされており、対応が必要になる企業が一気に増えます。御社の顧問先で、まだストレスチェックを始められていない事業場はありますか?」
パターン2:「コスト・運用」を切り口に
「ストレスチェックを既に外注している企業様の中には、『毎年違う会社に頼んでいて経年データが取れない』『窓口がバラバラで管理が大変』というお悩みを抱えるケースが多いです。御社のブランドで一本化して提供できる仕組みがあるのですが、ご興味はありますか?」
パターン3:「既存サービスとの組み合わせ」を切り口に
「健診とストレスチェックを別々の業者に依頼している企業様は、年間の事務工数だけで延べ2〜3週間取られているケースが多いです。御社の健診業務と一体化して、年次の健康管理パッケージとして提供できる仕組みをご紹介できます。」
月次・年次の集客サイクル設計
OEM代理店の集客は、企業の年次サイクル(決算期・予算策定・契約更新)と連動させると効率的です。
| 時期 | 主な活動 | 狙う成果 |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 新年度予算策定提案・既存顧客への追加提案 | 4月開始の新規契約獲得 |
| 4〜6月 | 健診シーズンに合わせた一体提案・健診機関は最繁忙期 | 健診とのバンドル契約 |
| 7〜9月 | 第2四半期レビュー・既存顧客の継続提案 | 下期スタートの契約獲得 |
| 10〜12月 | 来年度予算策定の提案開始・士業会勉強会出席 | 翌年度契約の先行確保 |
業種別では、社労士向けは1〜3月(決算前後)と10〜12月(来年度予算)が動きやすく、健診機関向けは4〜6月(健診シーズン直前)が最重要、EAP向けは契約更新月(業種により変動)に集中するのが定石です。
KPI設定とPDCA
OEM代理店の集客KPIは、以下の4階層で設計します。
- リード数:月次の新規接点数(既存顧客への提案件数+紹介リード数+Web経由のお問い合わせ数)
- 商談化率:リードから初回商談に進む割合(業種により30〜60%が目安)
- 受注率:商談から契約締結に至る割合(既存顧客深耕で40〜60%、紹介で20〜40%、Web経由で5〜15%が一般的)
- 初年度顧客単価:100名規模の企業で年間30〜80万円、300名規模で年間80〜200万円が業界相場
毎月のKPIレビューで、どのチャネルが伸びていてどこが止まっているかを可視化し、四半期ごとにチャネル配分を見直します。立ち上げ期は「既存顧客深耕:紹介:Web=6:3:1」程度から始め、半年後に紹介とWebの比率を上げていくのが現実的です。
- OEM代理店の集客は「既存顧客深耕」「同業ネットワーク紹介」「Web集客」「業界団体」の4チャネルで設計する
- 立ち上げ初期は受注率の高い既存顧客深耕に集中し、3〜6か月で紹介・Webへ展開する
- 業種別(社労士・健診機関・産業医紹介・EAP)でチャネル戦略と提案タイミングが大きく異なる
- 初年度1〜5社を現実的な目標として設定し、客単価年間30〜200万円規模の追加収益を目指す
まとめ
OEM代理店の集客は、商品力だけでは決まりません。業種ごとの強みを活かしたチャネル戦略と、企業の年次サイクルに合わせた提案タイミングの組み合わせが、契約獲得率を大きく左右します。
まずは既存顧客への深耕から始め、3〜6か月でチャネルを広げ、半年〜1年で安定的なパイプラインを構築するのが現実的なステップです。立ち上げ初期は受注率の高い既存顧客チャネルに集中し、徐々に紹介・Webへとチャネルを多角化していきましょう。
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