- 最初に確保すべきもの(順番が重要です)
- 支払いが止まると、何から消えていくのか
- ソースコードがない場合にできること
- 引き継ぎ先を探すときに確認すべき条件
- やらないほうがいいこと
システムを作ってもらった会社に連絡したら、電話が繋がらない。 メールも返ってこない。サイトは今のところ動いているけど、 これって何から手をつければいいんだろう。
大前提: 動いているうちに動いてください
システムが動いている今は、まだ余裕があるように見えます。 しかし、開発会社が機能しなくなっているとき、時間の経過とともに失われるものがあります。
失われる順番は、だいたい決まっています。
- 連絡手段(担当者個人の携帯・メールが最初に切れる)
- 各種サービスの契約(支払いが止まると、期限を過ぎて自動的に解約される)
- ドメイン(更新されなければ失効し、第三者が取得できる状態になる)
- サーバーとデータ(解約後、一定期間で消去される)
いちばん怖いのは3と4です。 ドメインを失うと、同じURLに戻れなくなる可能性があります。 サーバーが消えると、ソースコードもデータベースも一緒に消えます。
だから、まず「押さえる」ことから始めます。
1. ドメインの契約状況を確認する
whois 検索や、ドメイン登録事業者の管理画面で、登録者名義と有効期限を確認します。
- 自社名義になっている場合 … 比較的安全です。管理画面のログイン情報を探してください
- 開発会社の名義になっている場合 … 最優先で対応が必要です。移管には現在の登録者側の 手続きが必要になることが多く、連絡が取れないと手間がかかります
有効期限が近い場合は、期限を過ぎる前に動いてください。 失効してからでは、 取り戻せる保証がありません。
2. サーバーの契約と支払い方法を確認する
サーバー(レンタルサーバー・クラウド)の契約者と、支払いに使われているクレジットカードを 確認します。開発会社のカードで支払われている場合、そのカードが止まった時点で サーバーも止まります。
契約が自社名義であれば、支払い方法を自社のものに変更しておきます。 この一手だけで、突然データが消えるリスクの大部分が消えます。
3. ソースコードの所在を確認する
コードが今どこにあるかを確認します。可能性は次のいずれかです。
- サーバー上にある … 最も一般的です。FTP/SSHでアクセスできれば取得できます
- GitHub / GitLab などにある … アカウントの管理者が開発会社の場合、アクセス権の確保が必要です
- 開発会社の社内だけにある … 最も困る状況です
サーバー上にある場合は、今のうちに全部ダウンロードしてバックアップを取ってください。 データベースも合わせてエクスポートしておきます。
バックアップは1箇所に置かないでください。 「サーバーからダウンロードしたものを、そのサーバーの別フォルダに置く」では意味がありません。 手元のPCと、クラウドストレージなど、物理的に別の場所に2つ以上残します。
4. 外部サービスの契約を洗い出す
システムが動くために、外部サービスを使っていることがあります。
- メール配信サービス
- SMS配信サービス
- 決済代行サービス
- 地図・SMS・LINE などのAPI
- SSL証明書
これらも開発会社名義で契約されている場合、支払いが止まれば順次停止します。 システムのソースコード内に、これらのサービスの設定(APIキーなど)が書かれていることが多いので、 コードを確保できていれば、そこから使用中のサービスを洗い出せます。
5. 契約書と納品物を探す
社内に残っている書類を確認します。特に見るべきは次の点です。
- ソースコードの著作権・利用条件がどう書かれているか
- 納品物として何が含まれることになっていたか
- 保守契約の有無と、その範囲
著作権の扱いは契約内容によって異なります。 「発注して作ってもらったのだから当然自社のもの」とは限らず、 契約に定めがなければ制作した側に権利が残っているケースもあります。 判断に迷う場合は、弁護士など専門家にご相談ください。
この記事は法的な助言ではありません。 権利関係や倒産手続きが絡む場合の判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。
6. 「今、何が動いているか」を書き出す
エンジニアでなくてもできる、とても重要な作業です。
- 毎日/毎月、自動で動いている処理はあるか(メール送信、データ集計など)
- 誰がどの画面を使っているか
- 止まったら業務が止まるのはどの機能か
この情報は、社内の方にしか分かりません。 引き継ぎ先を探すとき、これがあるかないかで、初動の速さがまったく変わります。
7. 引き継ぎ先を探す
ここまで確保できたら、保守を引き継げる先を探します。 確認すべき条件は次のとおりです。
| 確認すること | なぜ重要か |
|---|---|
| 仕様書がない状態から引き継げるか | ドキュメントがないのが普通の状況です。「資料をください」と言われる相手では進みません |
| 古いPHPやフレームワークに対応できるか | 「対応できません」と断られるケースは実際に多いです |
| 調査だけを先に依頼できるか | いきなり全部を任せる契約は、双方にとってリスクが大きすぎます |
| 費用が事前に分かるか | 見積もりが出るまで数週間かかる相手だと、その間もリスクが続きます |
| 引き継ぎ後のドキュメントを納品してくれるか | 同じことを繰り返さないために必要です |
| 担当が1人ではないか | 個人に依存すると、同じ問題がもう一度起きます |
やらないほうがいいこと
サーバーの設定を、分からないまま触る 「とりあえずPHPのバージョンを上げてみる」といった操作で、動いていたシステムが 止まることがあります。まずバックアップ、次に確認、それから変更です。
支払いを止める 開発会社への不信感から支払いを止めたくなることがありますが、 その支払いがサーバーやドメインの維持費に充てられている場合、システムが止まります。 何にいくら払っているのかを整理してからにしてください。
放置する 最も多く、最も損をするのがこれです。動いているうちは実害がないため、 つい後回しになります。しかし、この記事の冒頭に書いたとおり、 失われるものは時間とともに増えます。
それでも困ったときは
弊社では、開発元が不在になったシステムの引き取りを多くご相談いただいています。 ドキュメントも引き継ぎもない状態から、ソースコードを読んで 保守できる状態にするところが出発点です。
まず「引き取れるかどうか」だけを、3営業日以内にお答えしています。 診断は無料です。 費用は30万円・100万円・300万円の定額で、見積もりをお待たせしません。
→ PHPレスキュー(古いPHPシステムの定額改修)の詳細を見る → 引き取り可否を確認する
まとめ
- 動いているうちに動く。 失われるものは時間とともに増えます
- 最優先はドメインとサーバーの契約・支払い方法の確保
- ソースコードとデータベースは、今すぐ別の場所へバックアップする
- 「今、何が動いているか」の書き出しは、社内の方にしかできない重要な作業
- 引き継ぎ先は「仕様書がなくても引き継げるか」「調査だけ先に頼めるか」で選ぶ
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