引き継ぎ・刷新をやり切ると、追加の開発コストが下がり、表示速度が上がり、障害が減って監視の仕組みも入れられます。うまく進んだ案件には、業務内容の文章化・スケジュールの余裕・オペレーター目線の動作確認という共通点がありました。
他社が作ったシステムの引き継ぎ・刷新は、お断りになることがあり、調査の結果によっては作り直しの提案になることもあります。では、実際にそれをやり切った先には何があるのか。この記事では、引き継ぎ・刷新を完了させたあと顧客側で何が変わったか、協力してもらえて助かったこと、想定より時間がかかった部分を、実際の案件を通じた実感として解説します。
引き継ぎ・刷新をやり切ったあと、顧客側で何が変わるか
結論として、やり切ったあとの変化は主に4つあります。
1. 追加の開発コストが下がる
古いシステムのままだと、ちょっとした修正でも不具合の運用回避や周辺確認に手間がかかりがちです。整理されたシステムに刷新すると、その分の手間が減り、追加の開発コストが下がります。
2. 表示速度が上がる
バージョンアップや最適化によって、システムの表示速度が上がります。日々システムを使う担当者にとっては体感しやすい変化です。
3. 障害が減り、監視の仕組みを入れられる
刷新のタイミングで、障害を検知するための監視の仕組みを合わせて入れられることがあります。障害が減るだけでなく、何か起きたときに早く気づける状態になります。
4. 開発会社側からも機能提案ができるようになる
刷新前は「まずバージョンアップしないと」という話に議論が落ち着きがちです。刷新後はその制約がなくなるため、開発会社側からも新しい機能の提案ができるようになります。
協力してもらえて助かったこと3つ
引き継ぎ・刷新がうまく進んだ案件には、顧客側の協力が共通してありました。
1. 業務内容を口頭だけでなく文章でまとめてもらえたこと
システムがどのように運用されているかを、口頭の説明だけでなく文章でも残してもらえると、後から見直すことができて助かります。担当者の記憶だけに頼らずに済むため、調査や改修の精度が上がります。
2. スケジュールに余裕を見て相談してもらえたこと
既存システムの調査・改修は不確実性が高い作業です。スケジュールに余裕を持って相談してもらえる顧客であれば、想定外が起きても落ち着いて対応でき、安心して手伝うことができます。
3. 改修後の動作確認をオペレーター目線でしてもらえたこと
普段そのシステムを使っていない開発会社の目線だけでは気づけないことも、日常的に操作しているオペレーターに確認してもらうと見つかります。オペレーター目線の動作確認は、品質を上げるうえで大きな助けになります。
想定より時間がかかったのは「不具合か、時代の変化か」の見極め
作業の中で最も時間がかかったのは、「これはもともとの不具合なのか」「バージョンアップによって表面化した問題なのか」の見極めです。この中には、「当時は正しい仕様だったが、時代を経て合わなくなった」というものも含まれます。どちらに当たるかによって直し方が変わるため、慎重な切り分けが必要になり、想定より時間がかかることがあります。
逆に、以前より楽になったこと
一方で、フレームワークなどシステム自体のバージョンアップ作業そのものは、ひと昔前よりずっと楽になった印象があります。刷新のハードルが下がってきていることは、発注を検討するうえで知っておいて損はないポイントです。
最初に決めておいてよかったこと:機能の台帳
最も効果があったのは、どのような機能があるのかを顧客に確認し、台帳として管理することです。「この機能は使っている」「この機能はもう使っていない」が分かると、バージョンアップや改修でどこに力を入れるべきかが決まり、想定外のものとの差分にも気づきやすくなります。台帳ができていると顧客との共有もしやすくなり、結果として認識のズレを防げます。
この台帳は、見積もり前の調査段階でも力を発揮します。実物のサンプルは老朽化システム刷新の「Phase 1調査」中身を実物公開で公開しています。また、機能が分かっても「何に使われているか分からない」というケースが出てくる背景は、システムを直すより作り直した方が早いと言われるのはなぜかで解説している「顧客特有の業務理解」の難しさとも重なります。台帳づくりは、この難しさに発注側から先回りして対応できる数少ない方法です。
- やり切ったあとは、開発コストの低下・表示速度の向上・障害減少と監視体制の整備・開発会社側からの機能提案という変化が起きる
- 協力してもらえて助かったのは、業務の文章化・スケジュールの余裕・オペレーター目線の動作確認
- 想定より時間がかかるのは「不具合か時代の変化か」の見極め。逆にフレームワークのバージョンアップ自体は以前より楽になっている
- 最初に機能の台帳を作り、使っている・使っていないを管理しておくと、後の判断がしやすくなる
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