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システム開発

システム開発のテスト工程|発注者が知るべき受入テストの進め方

2026年3月7日 約8分で読めます
この記事でわかること
  • システム開発のテスト工程の全体像と種類
  • 発注者が主役となる「受入テスト(UAT)」の進め方
  • テストでよくある失敗とその防ぎ方
  • 受入テストで使えるチェックリスト
  • テスト完了後の検収で確認すべきポイント

テスト工程はなぜ重要なのか

システム開発のテスト工程は、完成したシステムが要件通りに動作するかを確認する最後の砦です。

テストをおろそかにすると、以下のような問題が発生します。

  • リリース後にバグが大量に見つかり、業務に支障が出る
  • 「動くけど使いにくい」システムになり、現場に定着しない
  • 本番データを入れたら想定外のエラーが発生する
  • セキュリティの穴が見つかり、情報漏洩のリスクが生まれる

実際に、システム開発で失敗する原因の一つに「テスト・検収をおろそかにする」が挙げられています。テスト工程にしっかり時間をかけることが、プロジェクト成功のカギです。


テストの種類と全体像

システム開発の流れの中で、テストは複数の段階に分かれて実施されます。

テストの種類目的実施者タイミング
単体テスト個々の機能が正しく動くか確認開発会社各機能の実装後
結合テスト機能同士の連携が正しいか確認開発会社複数機能の実装後
システムテスト(総合テスト)システム全体が本番環境で正しく動くか確認開発会社全機能の実装後
受入テスト(UAT)要件を満たしているか、業務で使えるか確認発注者開発会社のテスト完了後

発注者にとって最も重要なのは受入テスト(UAT: User Acceptance Test)です。これは開発会社ではなく、実際にシステムを使う発注者側が主体となって行うテストです。

単体テスト

プログラムの最小単位(関数やメソッド)が正しく動作するかを確認するテストです。開発者が実装と並行して行うため、発注者が直接関わることはほとんどありません。

結合テスト

単体テストで動作確認された機能同士を組み合わせて、データの受け渡しや連携が正しく行われるかを確認します。たとえば「商品を注文する → 在庫が減る → 請求書が生成される」といった一連の流れを検証します。

システムテスト(総合テスト)

システム全体を本番に近い環境で動かし、性能・セキュリティ・大量データ処理なども含めて総合的に検証します。開発会社側で行う最後のテストです。

受入テスト(UAT)

開発会社のテストがすべて完了した後、発注者が実際の業務シナリオに沿ってシステムを検証します。「要件通りに作られているか」だけでなく、「実際の業務で使えるか」を確認する重要な工程です。

💬
テスト工程で最も多いのが「受入テストの時間が足りない」という問題です。開発が遅れると、そのしわ寄せがテスト期間に来ることが多いのですが、受入テストを短縮するのは非常にリスクが高い判断です。契約時にテスト期間を明確に確保し、開発が遅れた場合もテスト期間は死守するよう取り決めておくことをおすすめします。

発注者が主役:受入テスト(UAT)の進め方

Step 1:テスト計画を立てる

受入テストを始める前に、以下の項目を決めておきます。

決めること具体例
テスト期間2週間(3/1〜3/14)
テスト担当者営業部:田中、経理部:鈴木、管理者:山田
テスト環境ステージング環境(開発会社が用意)
テストデータ本番に近いデータを使用
不具合報告方法Googleスプレッドシートに記録
合格基準重大な不具合がゼロ、軽微な不具合は5件以内

Step 2:テストシナリオを作成する

実際の業務フローに沿ったテストシナリオを作成します。要件定義で決めた機能一覧をベースにすると漏れが少なくなります。

テストシナリオの例(受注管理システム)

No.テスト項目操作手順期待結果結果
1新規受注の登録受注画面で顧客・商品・数量を入力して保存受注一覧に表示される-
2在庫の連動受注登録後に在庫画面を確認受注数量分の在庫が減っている-
3請求書の生成受注を「納品済み」に変更して請求書を発行正しい金額の請求書PDFが生成される-
4権限の確認一般ユーザーで管理者画面にアクセスアクセスが拒否される-
5大量データの処理100件の受注を一括登録エラーなく処理が完了する(30秒以内)-

Step 3:テストを実施する

テストシナリオに沿ってシステムを実際に操作し、期待通りに動作するか確認します。

テスト実施のポイント

  • 正常系だけでなく異常系もテストする — 必須項目を空欄にしたらどうなる?数値に文字を入れたら?
  • 実際の業務データに近いデータを使う — テスト用のダミーデータだけでは見つからない問題がある
  • IT に詳しくないスタッフにも触ってもらう — 開発者や管理者では気づかない使いにくさが見つかる
  • スマホやタブレットでも確認する — PCでは問題なくてもモバイルで崩れるケースがある

Step 4:不具合を報告する

不具合を見つけたら、以下のフォーマットで報告します。曖昧な報告は修正に時間がかかるため、できるだけ具体的に書くことが重要です。

項目記載例
発見日時2026年3月5日 14:30
画面名受注登録画面
操作内容数量に「0」を入力して保存ボタンを押した
期待結果「1以上の数値を入力してください」とエラーが出る
実際の結果エラーなく保存され、金額が0円の受注が作成された
重要度高(金額計算に影響する)
スクリーンショット添付あり

開発会社との不具合報告のやり取りをスムーズにするコツは、開発会社とのコミュニケーション術でも解説しています。


テストでよくある失敗とその防ぎ方

失敗①:テスト期間が短すぎる

開発が遅れると、テスト期間が削られがちです。しかし、テスト期間の短縮はリリース後の不具合に直結します。

防ぎ方:契約時にテスト期間を最低2週間確保する。開発が遅延した場合は、リリース日を後ろ倒しにする。

失敗②:本番データでテストしない

テスト用のきれいなダミーデータだけでテストすると、本番データを入れたときに予想外のエラーが発生することがあります。

防ぎ方:本番データのコピー(個人情報をマスキングしたもの)を使ってテストする。特に文字数の長いデータ、特殊文字を含むデータ、大量のデータを試す。

失敗③:現場スタッフがテストに参加しない

IT部門や経営者だけでテストすると、実際の業務で使うスタッフの視点が欠けます。

防ぎ方:実際にシステムを使う現場スタッフをテストメンバーに含める。ITの知識がなくても「使いにくい」「わかりにくい」というフィードバックは非常に価値がある。

失敗④:「動けばOK」で終わらせる

機能が動くことだけ確認して、パフォーマンスやセキュリティのテストを省略するケースがあります。

防ぎ方:以下の観点もテストに含める。

  • パフォーマンス — 大量データでも許容範囲の速度で動作するか
  • セキュリティ — 権限のないユーザーがアクセスできないか
  • ブラウザ互換性 — Chrome, Safari, Edge で正しく表示されるか
  • モバイル対応 — スマホ・タブレットでも操作できるか

受入テストのチェックリスト

受入テストで最低限確認すべき項目をチェックリストにまとめました。

機能面

  • 要件定義で決めたすべての機能が実装されているか
  • 各機能が正しく動作するか(正常系)
  • 不正な入力に対して適切なエラーメッセージが表示されるか(異常系)
  • 検索・フィルター機能が正しく動作するか
  • 帳票・PDF出力が正しいフォーマットで生成されるか

データ面

  • データの登録・更新・削除が正しく行われるか
  • 関連するデータが正しく連動しているか(在庫と受注の連動など)
  • 本番に近いデータ量で動作に問題がないか
  • データの移行が正確に行われているか

使いやすさ

  • 画面の遷移が直感的か
  • ボタンやリンクの配置がわかりやすいか
  • エラーメッセージが具体的で対処法がわかるか
  • 入力フォームの項目が適切か(不要な項目はないか)

セキュリティ・権限

  • 権限のないユーザーが制限された機能にアクセスできないか
  • パスワードの要件が適切か
  • セッションタイムアウトが設定されているか
  • 個人情報が適切に保護されているか

パフォーマンス

  • 画面の表示が許容範囲の速度か(目安:3秒以内)
  • 大量データの検索・集計が実用的な速度で行えるか
  • 同時に複数人が操作しても問題なく動作するか

テスト完了後の検収ポイント

受入テストで問題がなければ、正式にシステムを「検収」します。検収は「この成果物を受け取ります」という正式な合意であり、契約上も重要な意味を持ちます。

検収前に以下を確認しましょう。

  • 重大な不具合がすべて修正されているか
  • 軽微な不具合について、修正スケジュールが合意されているか
  • 操作マニュアルが納品されているか
  • ソースコードが納品されているか(契約で定めている場合)
  • サーバー・ドメインの管理情報が引き渡されているか
  • 保守契約の内容が確認済みか保守費用と契約のポイントを参照)
  • 瑕疵担保期間が明確に定められているか(通常1〜3ヶ月)
💬
検収は「問題があっても受け取ってしまったら後から言いにくい」と思われがちですが、瑕疵担保期間があるため、検収後に見つかった不具合も一定期間は無償で対応してもらえるのが一般的です。ただし、要件定義にない機能は瑕疵の対象外になるため、やはり要件定義の段階でしっかりと仕様を固めておくことが重要です。

まとめ

テスト工程は「開発の最終段階」ではなく、プロジェクト成功のための最後の関門です。

  • テストは単体→結合→システム→受入の4段階で実施される
  • 受入テスト(UAT)は発注者が主体で行う最重要テスト
  • テスト計画・テストシナリオを事前に準備し、実際の業務データでテストする
  • 不具合は「いつ・どこで・何をしたら・どうなったか」を具体的に報告する
  • テスト期間は最低2週間確保し、開発が遅れても削らない
  • 検収時には納品物の確認と保守契約の整備を忘れずに

テスト工程を含めたシステム開発の全体の流れはシステム開発の流れ完全ガイドで解説しています。

「テストの進め方がわからない」「受入テストをサポートしてほしい」という方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。FUNBREWでは、テスト計画の策定から受入テストのサポートまで対応しています。

よくある質問
システムテストと受入テスト(UAT)の違いは何ですか?
システムテストはベンダーが仕様通りに動作するかを確認する工程です。受入テスト(UAT)は発注者が実際の業務シナリオで動作を検証する最終確認です。発注者が主体的に参加するのはUATの段階で、ここで問題が見つかれば修正を依頼できます。
受入テストはどのくらいの期間が必要ですか?
小規模システムで1〜2週間、中規模で2〜4週間、大規模で1〜2ヶ月が目安です。テスト期間が短すぎると見落としが増えるため、開発工程の10〜20%のリソースを確保することをおすすめします。
発注者はシステムテストに何を準備すればよいですか?
テストシナリオ(実際の業務手順をもとにした操作手順書)の作成、テストデータの準備、担当者の確保が主な準備です。特に「異常系テスト」(入力ミス・エラー時の動作確認)は見落としがちなので、業務フローを網羅的に洗い出しましょう。
テストで不具合が見つかった場合、どうすればよいですか?
不具合を発見したら「再現手順・期待する動作・実際の動作・スクリーンショット」を記録した不具合報告書を作成します。軽微なものか重大なものかを優先度付けして、修正期限を契約書または覚書で合意することが重要です。
システム開発の検収とテスト完了はどう違いますか?
テスト完了はベンダー側の品質確認完了を意味します。検収は発注者がシステムを受け入れる正式な承認行為で、法的に「完成」が確定します。検収後は原則として追加費用なしでの大幅修正は求められなくなるため、検収前に十分なテストを行うことが重要です。
テストシナリオはどのように作れば良いですか?
テストシナリオは「実際の業務手順」を起点に作成します。正常系(想定通りの操作)と異常系(入力ミス・権限外操作・大量データ処理)の2種類を用意するのが基本です。業務フロー図をもとに、1シナリオ1目的で書くと漏れが防げます。エクセルで「テスト番号・操作手順・期待結果・実際結果・合否」の5列で管理するのが最も汎用的です。
リグレッションテスト(回帰テスト)とは何ですか?
リグレッションテストとは、修正や機能追加を行った後に、既存の機能が壊れていないかを確認するテストです。システムの改修・機能追加が発生するたびに実施が必要です。自動化ツールを活用することで繰り返しのコストを下げられますが、発注者として「修正前後でどの機能を再テストするか」を事前に合意しておくことが重要です。
性能テスト・負荷テストは必要ですか?
利用者数が多いシステムや、特定時期にアクセスが集中するシステム(年度末処理・キャンペーン期間など)では、性能テスト・負荷テストが必要です。「同時接続100人でも3秒以内に画面が表示される」といった具体的な要件を要件定義時に定め、テスト基準として設定します。一般的な社内業務システムでは省略することもありますが、事前にベンダーと合意が必要です。

テストの進め方、サポートします

受入テストの計画策定からサポートまで対応。「テストで何をすればいいかわからない」という方もお気軽にご相談ください。

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