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システム開発

BtoB ECサイト構築ガイド|法人向け機能・掛け売り対応・システム連携の進め方

2026年3月9日 約7分で読めます
この記事でわかること
  • BtoB ECとBtoC ECの根本的な違い
  • BtoB ECサイトに必要な機能一覧
  • 掛け売り・与信管理の仕組みと対応方法
  • 基幹システム(ERP・在庫管理)との連携
  • BtoB EC構築プラットフォームの比較と選び方

BtoB ECが注目される背景

BtoB(企業間取引)のEC化率は年々上昇しています。経済産業省の調査によると、BtoB ECの市場規模は約465兆円(2024年)で、EC化率は約40%に達しています。

これまでBtoB取引は、電話・FAX・メールでの受発注が主流でした。しかし、以下の理由からEC化への移行が加速しています。

  • 人手不足 — 営業・受注担当者の採用が困難。受注業務の自動化が急務
  • 顧客側のニーズ変化 — バイヤーもオンラインでの発注を好むようになった
  • 業務効率化 — 電話・FAX受注の転記ミス、在庫確認の手間を削減
  • データ活用 — 取引データの蓄積・分析による営業力強化

ただし、BtoB ECはBtoC ECとは求められる機能が大きく異なります。BtoCの仕組みをそのまま適用すると、現場で使えないシステムになりがちです。

BtoB ECとBtoC ECの違い

BtoB ECの構築を検討する際、まず理解すべきはBtoCとの根本的な違いです。

項目BtoC ECBtoB EC
購入者個人(エンドユーザー)法人(担当者+承認者)
価格設定全員同一価格取引先ごとに異なる(掛け率・個別単価)
決済方法クレカ・QR・後払い等掛け売り(月末締め翌月払い等)が主流
注文単位1個〜ロット単位・ケース単位が多い
購入の意思決定個人が即決担当者→上長承認→発注の多段階
リピート率商品による(数%〜30%)非常に高い(定期的な再発注)
カタログ・商品数数十〜数千点数千〜数万点(型番・規格違い含む)
基幹連携あれば便利必須(在庫・会計・出荷)

この違いを踏まえず「Shopifyで十分」と判断すると、掛け売りや会員別価格に対応できず、結局は手作業が残ってしまいます。

BtoB ECサイトに必要な機能

会員管理・取引先管理

  • 法人アカウント管理 — 1社に複数ユーザー(購入担当・承認者・管理者)を紐付け
  • 承認ワークフロー — 担当者が注文→上長が承認→発注確定の流れ
  • 取引先ランク — ゴールド・シルバー等のランクに応じた掛け率や送料条件の設定
  • 閲覧制限 — 取引先によって見える商品・見えない商品を制御

価格・掛け率管理

  • 会員別価格 — 取引先ごとに異なる販売価格を設定
  • 数量割引 — ロット数に応じた段階的な値引き
  • 見積もり機能 — オンラインで見積もり依頼→見積書発行→注文の流れ
  • 掛け率テーブル — 商品カテゴリ × 取引先ランクの掛け率マトリクス

受注・決済

  • 掛け売り(後払い) — 月末締め翌月末払い等。与信管理が必須
  • 請求書払い — 注文ごとではなく月次でまとめて請求
  • 発注書出力 — 社内稟議用の帳票出力
  • 定期注文(リピートオーダー) — 毎月同じ商品を自動発注する機能
  • クイックオーダー — 型番を直接入力して大量の商品をまとめて注文

基幹システム連携

  • 在庫管理連携 — リアルタイムの在庫数をEC上に反映
  • 会計システム連携 — 売上・請求データを自動連携
  • 出荷管理連携 — 受注→出荷指示→配送状況の一気通貫
  • 顧客管理(CRM)連携 — 営業活動データとEC購買データの統合
BtoB EC経験者からひとこと
「BtoB ECで最も重要なのは、既存の業務フローを壊さないことです。営業担当者が電話で受けていた注文を、いきなり『全部ECでやってください』と言っても現場は動きません。まずは既存顧客の定期注文からECに移行し、徐々に範囲を広げるのが成功のパターンです。」

掛け売り・与信管理の仕組み

BtoB ECの最大の特徴が「掛け売り」です。BtoCのように注文時に即時決済するのではなく、月単位でまとめて請求・支払いする商慣習です。

掛け売りの基本フロー

  1. 取引先が商品を注文
  2. 商品を納品(この時点で売掛金が発生)
  3. 月末に締め処理(当月分の注文をまとめる)
  4. 請求書を発行・送付
  5. 翌月末(または翌々月末)に入金

与信管理が必要な理由

掛け売りは「後から払ってもらう」仕組みのため、未回収リスクがあります。与信管理とは、取引先ごとに「いくらまで掛け売りを認めるか」の上限(与信限度額)を設定・管理することです。

  • 自社で与信管理 — 帝国データバンク・東京商工リサーチの企業情報を基に与信枠を設定。管理の手間はかかるが柔軟性が高い
  • BtoB決済サービスを利用 — Paid(ラクーンフィナンシャル)、NP掛け払い、マネーフォワード ケッサイ等。与信審査から請求・回収まで代行してくれる

主要なBtoB決済サービスの比較

サービス特徴手数料目安与信限度額
Paid(ラクーン)BtoB掛け売り特化。導入実績が豊富取引額の0.5〜3.5%企業ごとに審査
NP掛け払いNP後払いのBtoB版。請求代行付き取引額の1.2〜3.6%最大300万円/月
マネーフォワード ケッサイ審査スピードが早い。請求書自動発行取引額の0.5〜3.5%企業ごとに審査

BtoB EC構築プラットフォームの比較

BtoB ECの構築方法は、大きく3つに分かれます。

BtoB専用ASP・SaaS

BtoB ECに特化したクラウドサービスです。掛け売り・会員別価格・承認フローなどの機能が標準装備されています。

サービス特徴費用目安(月額)
BカートBtoB EC専用ASP。機能が豊富で使いやすい9,800円〜
楽楽B2B受発注に特化。FAX注文のEC化に強い要問合せ
アラジンEC基幹システム連携に強い。販売管理とセット要問合せ
ecbeing BtoB大規模向け。カスタマイズ性が高い要問合せ(初期500万円〜)

汎用ECプラットフォーム+カスタマイズ

ShopifyやEC-CUBEをベースに、BtoB向けの機能をプラグインやカスタム開発で追加する方法です。

  • Shopify Plus — Wholesale Channelで法人向け価格を設定可能。ただし日本の商慣習(掛け売り・請求書払い)には追加開発が必要
  • EC-CUBE — BtoB向けプラグインで会員別価格や掛け売りに対応可能。カスタマイズの自由度は高いが、開発コストがかかる

フルスクラッチ開発

自社の業務フローに完全に合わせたシステムをゼロから構築する方法です。

  • 向いているケース — 独自の価格体系・商慣習がある、既存の基幹システムとの深い連携が必要、取り扱い商品の特性が特殊(構成品の組み合わせ注文等)
  • 費用目安 — 1,000万〜5,000万円以上
  • 期間 — 6ヶ月〜1年以上

選び方の判断基準

  • 月商1,000万円未満・取引先50社未満 → BtoB専用ASP(Bカート等)で始める
  • 月商1,000万〜5,000万円・取引先50〜500社 → 専用ASP or EC-CUBEカスタマイズ
  • 月商5,000万円以上・複雑な基幹連携 → フルスクラッチ or 大規模パッケージ

BtoB EC導入の進め方

フェーズ1:現状分析と要件整理(1〜2ヶ月)

  • 現在の受発注フロー(電話・FAX・メール)の棚卸し
  • 取引先ごとの価格体系・決済条件の整理
  • 基幹システムの現状確認(データ連携の可否)
  • 社内の関係者(営業・物流・経理)へのヒアリング

フェーズ2:プラットフォーム選定・設計(1〜2ヶ月)

  • 機能要件と予算を照らして構築方法を決定
  • 決済方法(自社与信 or BtoB決済サービス)の選択
  • 基幹システム連携の設計(API・CSV・手動のいずれか)
  • 画面設計・ワイヤーフレーム作成

フェーズ3:構築・テスト(2〜6ヶ月)

  • ECサイトの構築・カスタマイズ
  • 商品データ・取引先データの移行
  • 基幹システムとの連携テスト
  • 取引先数社でのパイロット運用

フェーズ4:段階的リリース(1〜3ヶ月)

  • まず定期注文の多い取引先からECに移行
  • 営業担当者への操作研修
  • 取引先への利用案内・マニュアル配布
  • 電話・FAXとの併用期間を設けて移行を促進

BtoB EC導入でよくある失敗と対策

失敗①:現場の営業担当者が使わない

原因:「今までのやり方の方が早い」と感じてECを使わない

対策:営業担当者にもメリットを実感してもらう(受注処理の時間削減データを見せる、定型注文から移行、新規はEC経由のみにする等)

失敗②:基幹システムとの連携がボトルネックに

原因:古い基幹システムにAPIがなく、データ連携が手作業になる

対策:初期はCSV連携で始め、段階的にAPI連携に移行。ETLツール(Asteria、DataSpider等)の活用も検討

失敗③:取引先ごとの価格設定が複雑すぎる

原因:長年の交渉で取引先ごとに異なる単価が数千パターンある

対策:EC導入を機に価格体系を整理。掛け率テーブルに集約し、例外的な価格は個別対応とする

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まとめ

  • BtoB ECはBtoCとは別物。会員別価格・掛け売り・承認フロー・基幹連携など、法人取引特有の機能が必須
  • 掛け売りの与信管理が最大のハードル。BtoB決済サービス(Paid、NP掛け払い等)を活用すれば、与信から回収まで代行可能
  • まずはBtoB専用ASPで始めるのが安全。Bカート等なら月額1万円未満からスタートできる
  • 基幹システム連携は段階的に。最初からフル連携を目指すとプロジェクトが長期化する
  • 現場の巻き込みが成功の鍵。営業・物流・経理の関係者を初期段階から参加させる
  • 一気にではなく段階的に移行。定期注文→新規注文→全取引の順でEC化を進める

BtoB ECサイトの構築や基幹システムとの連携でお困りの方は、お問い合わせからご相談ください。FUNBREWでは、業務フローの分析からEC構築・基幹連携まで一貫してサポートしています。

よくある質問
ECサイトの構築費用はどのくらいですか?
ECプラットフォーム(Shopify等)を使う場合は月額数千円〜数万円、フルスクラッチ開発の場合は300万〜1,500万円程度が目安です。必要な機能(決済、在庫管理、会員機能など)によって大きく変わります。
ECサイトの集客方法は?
SEO対策、SNSマーケティング、リスティング広告が主な集客方法です。まずはSEOとSNSで自然流入を増やし、売上が安定してきたら広告投資を検討するのがおすすめです。
ECサイトに必要なセキュリティ対策は?
SSL証明書の導入、クレジットカード情報の非保持化(決済代行サービスの利用)、不正注文検知の仕組みが最低限必要です。個人情報保護法への対応も忘れずに行いましょう。

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