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バーティカルSaaSとは?ホリゾンタルとの違いと成功のポイント

2026年4月3日 約6分で読めます
  • バーティカルSaaSは特定業界に特化した業界特化型SaaS。汎用型(ホリゾンタルSaaS)と異なり、業界固有の課題を深く解決する。
  • 競合が少なく解約率が低いため、継続的な成長が見込みやすいビジネスモデル。
  • 成功のカギは「業界を深く知ること」と「現場の業務フローから設計すること」。
  • 建設・医療・不動産・造園など、デジタル化が遅れていた業界での需要が急拡大している。

バーティカルSaaSとは

バーティカルSaaS(Vertical SaaS)とは、特定の業界や業種に特化して設計されたSaaS(Software as a Service)のことです。「バーティカル(Vertical)」は「垂直」を意味し、業界軸に深く掘り下げたソフトウェアである点が特徴です。

たとえば、建設業向けの工程管理システム、医療機関向けの電子カルテ、不動産向けの物件管理ツールなどが代表例です。汎用的な機能ではなく、その業界特有の業務フローや規制・慣習に対応した機能を最初から備えています。

これに対し、幅広い業界・企業に対応した汎用型SaaSは「ホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS)」と呼ばれます。

ホリゾンタルSaaSとの比較

バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSの違いは、対象とする市場の「幅」と「深さ」にあります。

項目 バーティカルSaaS ホリゾンタルSaaS
対象 特定業界・業種 業界横断・汎用
機能 業界特化の深い機能 幅広い汎用機能
市場規模 限定的だが高単価 大規模だが競争が激しい
競合 少ない(参入障壁が高い) 多い(大手が強い)
顧客獲得 業界チャネル経由が有効 幅広いマーケティングが必要
代表例 建設管理、医療カルテ Slack、Salesforce、Zoom

ホリゾンタルSaaSはSlack・Salesforce・Notionなど大手が市場を押さえており、後発が勝ち込むのは容易ではありません。一方、バーティカルSaaSは「その業界の現場をよく知っている」ことが最大の競争優位になります。

バーティカルSaaSが注目される背景

DX推進の追い風

政府主導のDX推進や、コロナ禍以降のリモートワーク普及により、これまでアナログ・属人的だった業務のデジタル化が加速しています。建設・農業・医療・福祉など、従来ITリテラシーが低いとされていた業界でも、クラウドツール導入の需要が急増しています。

業界固有の課題への対応

汎用ツールでは対応しきれない、業界特有の規制・商習慣・業務フローが存在します。たとえば建設業では工程管理・積算・施工図の共有など、医療では診療報酬請求・患者管理・法令遵守など、業界ごとの固有ニーズがあります。バーティカルSaaSはこうした課題を的確に解決できるため、現場での採用率が高まっています。

スモールビジネスのSaaS化

中小企業・零細業者向けの業務管理ツールとして、これまで高額な業務システムを導入できなかった層にもSaaSが普及しています。月額課金による低コストでの利用開始が可能なため、小規模事業者のデジタル化を後押ししています。

国内外の成功事例

建設・施工管理

国内では「ANDPAD」が建設業向けSaaSとして急成長しています。施工管理から受発注・現場コミュニケーションまでをカバーし、建設業界特有の複雑な工程を一元管理できる点が支持されています。

医療・クリニック

電子カルテSaaSの「CLINICS」や「カルテi」など、クリニック向けに特化した診療管理システムが普及しています。診療報酬請求の自動化や予約管理など、医療現場のニーズに応えた機能が評価されています。

不動産

「いえらぶCLOUD」など、不動産仲介・管理業者向けSaaSが市場を形成しています。物件情報の一元管理や、ポータルサイトへの連携機能など、業界ならではの機能が充実しています。

造園・外構業(niwakura)

FUNBREWが開発に携わった「niwakura」は、造園・外構業に特化した業務管理SaaSです。見積作成・施工管理・顧客管理を一体化し、職人の現場目線で使いやすいUIを実現しています。ニッチな業界に絞り込むことで、競合が少なく高い顧客満足度を維持しています。

バーティカルSaaSのメリット・デメリット

メリット

  • 競合が少ない:特定業界に絞ることで、大手汎用SaaSとの正面衝突を避けられます。
  • 顧客の課題解決精度が高い:業界知識を持って設計するため、現場の痛みを的確に解決できます。
  • 解約率が低い:業務に深く組み込まれるため、スイッチングコストが高く、長期利用につながりやすいです。
  • 口コミ・業界チャネルが効きやすい:同業者間のつながりが強い業界では、評判が広がりやすい傾向があります。
  • 単価を高く設定しやすい:代替手段がない専門機能に対しては、適切な価格設定が可能です。

デメリット

  • 市場規模の上限がある:業界を絞ることで、獲得できる顧客数に天井があります。
  • 業界知識の習得が必要:開発チームが対象業界を深く理解しないと、的外れなプロダクトになるリスクがあります。
  • 初期の市場開拓が難しい:業界内での信頼を得るまでに時間がかかります。
  • 横展開の難度が高い:隣接業界への展開には、再び深い業界理解と機能開発が必要です。

成功するバーティカルSaaSの共通点

1. 現場の業務フローから設計する

成功しているバーティカルSaaSは、現場担当者へのヒアリングや実務体験を重ねてプロダクトを設計しています。「作り手が業界を知っている」ことが、現場での採用率に直結します。

2. 小さな課題から始めてPMFを確認する

最初から全機能を作ろうとせず、最も痛みの大きい課題に絞った最小機能(MVP)でリリースし、実際の顧客フィードバックを集めながら拡張していくアプローチが有効です。

3. 業界のキーパーソン・業界団体と連携する

業界団体・組合・有力事業者との早期連携が、信頼獲得と初期顧客獲得を加速させます。口コミと紹介による拡散が、バーティカルSaaSの成長エンジンになります。

4. SaaS単体ではなくエコシステムで考える

決済・発注・請求・行政申請など、業界の上流・下流の業務プロセスと連携することで、プロダクトの価値と競合優位性が大きく高まります。

5. 解約を最小化するオンボーディング設計

ITリテラシーが高くない業界への導入では、初期設定・操作教育・サポート体制が解約率に直結します。手厚いオンボーディングとCS(カスタマーサクセス)の整備が欠かせません。

バーティカルSaaSの開発で最もよくある失敗は、「業界の人の話を聞かずに作ってしまう」こと。どれだけ技術力があっても、現場の業務フローを知らないまま作ったプロダクトは使われません。まず現場に入り込み、課題を言語化するところから始めましょう。

まとめ

バーティカルSaaSは、特定業界の深い課題を解決するために設計された業界特化型のSaaSです。汎用型(ホリゾンタルSaaS)と比べて市場規模は限定的ですが、競合が少なく解約率が低いため、継続的な成長が見込みやすいビジネスモデルです。

DX推進の波を受け、建設・医療・不動産・農業・造園など、これまでデジタル化が遅れていた業界でもバーティカルSaaSの需要は急拡大しています。成功のカギは「業界を深く知ること」と「現場の課題から設計すること」に尽きます。

FUNBREWでは、業界特化型SaaSの企画・設計・開発を支援しています。バーティカルSaaS開発の詳細な進め方については、バーティカルSaaS開発完全ガイドもあわせてご覧ください。

よくある質問
バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSはどちらが良いですか?
どちらが良いかは目的によります。特定業界の深い課題を解決したい場合はバーティカルSaaS、幅広い業種・規模の企業に利用してもらいたい場合はホリゾンタルSaaSが適しています。競合が少なく高い解約率を維持しやすい点では、バーティカルSaaSが有利なケースが多いです。
バーティカルSaaSの開発期間はどのくらいかかりますか?
MVPであれば3〜6ヶ月程度での開発が可能なケースもあります。ただし業界調査・ヒアリング・業務フロー分析の期間を含めると、プロダクト全体の設計から最初のリリースまで6〜12ヶ月を見込むのが一般的です。
バーティカルSaaSの収益化はどのように行いますか?
月額・年額のサブスクリプション課金が基本です。業界によっては、初期導入費用(セットアップ費)+月額課金の組み合わせや、取引額に応じたレベニューシェア型の収益モデルも有効です。
バーティカルSaaS開発で最も重要なことは何ですか?
業界の現場を深く理解することです。開発チームが対象業界の業務フロー・規制・商習慣を把握していないと、使われないプロダクトになりがちです。現場へのヒアリングと継続的なフィードバック収集が成功の鍵です。
小さな業界でもバーティカルSaaSは成立しますか?
はい、成立します。市場規模が小さくても、その業界特有の課題を解決できれば高単価での提供が可能です。造園業・農業・葬祭業など、ニッチに見える業界でもバーティカルSaaSが成功している事例は多く存在します。

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