IDCFの件で、ご提案の中身を変えます
IDCF(IDCフロンティア)の状況が、本当に悲惨です。10月7日にクラウドがランサムウェアの攻撃を受け、495の企業・自治体に影響が出ました。
ランサムウェアを受けたIDCF自体には、もちろん責められるべき点があります。ただ、それとは別に、1日に何通も届く続報のメールを読んでいると、その裏で対応しているエンジニアの方々を想像してしまい、胸が痛みます。
そんな中、日本バスケットボール協会の公式サイトがIDCF上で動いていて、元の環境には戻せず、新しい環境で作り直すことになった、というニュースを目にしました。報道によると、サイトの運用委託先がデータとバックアップを同じクラウドの領域に置いていたため、どちらも使えなくなったそうです。正直に言って、他人事ではありませんでした。FUNBREWとしても、これからのご提案の中身を変えざるを得ないと考えています。
「コストで選ぶ」が難しくなった
FUNBREWはシステム開発を請け負う会社で、お取引先のほとんどは中小企業の皆様です。ご予算と相談しながら組み立てるので、安全側に倒しすぎた、過剰な構成は普段ご提案しません。
それでも、サーバー事業者の選定だけは、もうコストで決めるのは難しくなったと言わざるを得ません。
「ソフトバンク系列の会社」と聞けば、多くの方はある程度の安心感を持つはずです。けれど今回のようなことが起きた以上、サーバー事業者は「プロ集団ではあるが、全面的に信頼する訳にはいかない相手」だと考える必要があります。IDCFだけの話ではありません。さくらインターネットでも、この8月に「さくらのレンタルサーバ」と、契約情報を管理する販売管理システムへの不正アクセスが公表されました(情報を見られた・取られた可能性がある、という発表です)。
FUNBREWの今の見解
政府が国産クラウドの話を進める中でも、今のFUNBREWの見解は、Amazon(AWS)・Google(Google Cloud)・Microsoft(Azure)の3社を基準にシステムを組み立てることです。
この3社で事業者側の情報流出が起きたなら、それはもう誰にも防ぎようがなかった、と言える水準です。もちろん、そうなった時の備えも用意します。その上で、まずは「手頃だから国産を選ぶ」には待ったがかかる、と考えたほうがよさそうです。
くどいようですが、開発会社がある程度信頼していたサーバー事業者で、私たちが作ったシステムとは関係のない所で攻撃を受け、システムが止まる。情報が漏れる恐れもある。場合によってはバックアップからも戻せない。こうなると、開発会社の側では手の打ちようがありません。だからこそ、事業者を選ぶ段階から考え方を変える必要があると考えています。
相見積もりをされる方へ
これからお手伝いするお取引先様には、この考え方を個別にご説明します。
ただ、インフラ(サーバーをどこに置くか)を含めた技術の選び方は、見積もりの段階では余り語られないことが多い部分です。何社かに相見積もりを取られる際は、金額の高い・安いに関わらず、是非この点を各社に確かめてみてください。確かめ方は、この号の最後の「来月のこと」にまとめました。
出典
- IDCフロンティア「【第3報】当社サービスの一部システムへの不正アクセスによる障害について」(2026年10月8日)
- IDCフロンティア「【第6報】バックアップサービスの提供再開について」(2026年10月18日)
- 日経クロステック「IDCフロンティアへのランサム攻撃、495の企業・自治体に影響」
- デイリースポーツ「バスケ日本協会にシステム障害 サイト委託先にサイバー攻撃」(2026年10月14日)
- さくらインターネット「当社レンタルサーバーサービスの一部環境に対する不正なアクセスについて」(2026年8月17日)
- INTERNET Watch「さくらインターネット、「さくらのレンタルサーバ」および販売管理システムへの不正アクセスについて調査結果を公開」
株式会社FUNBREW 代表金井 泰樹
この1か月でやったこと
この1か月は、自社で作っている PDF・画像の墨消しアプリ「Fuseji(伏字)」の開発を進めました。
Fuseji は、書類を社外に渡す前に、氏名や住所などの個人情報を探して黒く塗りつぶす(墨消しする)アプリです。見つけた候補を一覧で確かめ、選んだものだけを下の文字ごと消します。書類の処理は全てお使いのパソコンやスマホの中で行い、弊社を含む外部には送りません。
システム会社がなぜ自社でアプリを、と思われるかもしれません。一つは、書類のやり取りからの情報漏洩が後を絶たず、手元で確実に消せる道具が要ると感じたからです。もう一つは、自分たちの技術を磨くためです。自社製品で試した仕組みや失敗は、お客様のシステムづくりにもそのまま生きてきます。
10月にやったこと
- Windows 版を公開しました(10月7日)。9月の Mac 版に続くもので、同じライセンスキーで Mac と Windows のどちらでも使えます
- iPhone・iPad 版を App Store で、Android 版を Google Play で公開しました。スマホで撮った書類の写真も、そのまま墨消しできます
- パソコン版を10回以上更新しました。よく使う消し方を「型」として保存して当てられるようにしたほか、白黒コピーの書類に押された印影(ハンコ)も見つけられるようにしました
できないことと、かかる費用
- 扱えるのは PDF と画像です。Word・Excel のファイルをそのまま読み込む機能は、まだ出していません(PDF にしてからお使いいただく形です)
- 自動で見つけるのは「候補」までです。消す・消さないの最後の判断は、画面で人が確かめる前提で作っています
- 無料版は期限なくお使いいただけます。製品版はパソコンの個人版が 3,980 円(税込・買い切り)からです。買ってから1年を過ぎても新しい版を使い続けたい場合は、「アップデート1年分」(購入額の 25%)をお求めいただく形です
詳しくは製品サイト(https://getfuseji.com/)をご覧ください。
本番に触らずに弱点を調べる、「箱庭」の脆弱性診断
保守でお預かりしているシステム向けに、本番には触らず、手元に再現した環境の中で弱点を調べる仕組みを作っています。
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いつでも配信を止められます。なぜ国産クラウドを選んできたのか、それでも「AWSなら安心」ではない理由
国産クラウドを選んできたのは、単体の機能で1〜2割安かったから。一方で、扱えるエンジニアの層や複雑な構成への対応では海外3社に分があります。ただし「事業者が攻撃されにくいこと」と「載せたシステムが不正アクセスに遭わないこと」は別の問題です。
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見積もりの時に確かめていただきたい5つのこと
見積書には「サーバー費 月○円」とだけ書かれていることが良くあります。その数字の裏側を、次の5つで確かめてみてください。
- どの事業者のサーバーに置くのか、なぜそこを選んだのか
- バックアップは、その事業者の外にも置かれているか
- バックアップから実際に戻せるか、試したことがあるか
- 止まった時、何日で元に戻す想定か
- 事業者側で事故が起きた時、開発会社は何をしてくれるのか
はっきり答えられる会社なら、金額が多少高くても、その差には理由があるはずです。
この5つは、FUNBREW 自身にも当てはめていきます。今お預かりしているシステムも、これからこの考え方に沿って見直していきます。
「うちの場合はどうなのか」が気になる方は、お問い合わせフォームからお気軽にお声がけください。メールでお受け取りの方は、このメールへの返信でも構いません。