ファンブリューの金井です。
システム開発はどうしても料金が高くなり、小さな会社のお客様に提案がしづらいところがあります。
開発にあたっては、実際にそれなりの専門性と工数がかかるため、開発会社としては致し方ないところではあります。
しかし、お客様の方で予算が取れないと開発はできないので、せっかく引き合いをいただいても関係が終わってしまいます。
そこでローコードツールなら何とかなるかと思い、現在必死で色々と触っているところです。
国内の製品も検討したのですが、どうもピンとこず、日本国外も含め、オープンソースの製品を中心に見ておりました。
その中でBudibaseがかなり良さそうだったので、今回はそのBudibaseのメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。
Budibaseとは?
まずはBudibaseとは何か、簡単に触れておきたいと思います。
Budibaseとはローコードツールの1つで、個人的に大きな特徴だと思うのが、他の製品と比べて無料で利用できる範囲が広いこと、接続できるデータソースの種類が多いことです。
無料で使える範囲とデータソースについては、後ほどご紹介したいと思います。
日本国内ではあまり話題になっていないBudibaseですが、ロゴだけ見るとDisneyやNetflixなどでも採用しているようです。
以前にBudibaseに試したことがあり、そのときは不具合が多いイメージでした。
ただ今回一年越しぐらいに改めて触ると、かなりの可能性を感じました。
ノーコード・ローコード系のツールはデザイン性を除けば、実務に十分耐えるものがあります。
世の中にはたくさんのツールがあるので、全てを検証したわけではありませんが、Budibaseもその一つで言えるでしょう。
NocoDBが使えないか結構な時間をかけて検証していましたが、詳細な画面設計ができることを考えると、今のところはBudibaseに軍配が上がりそうです。
Budibaseは無料で使える範囲が大きい
Budibaseはセルフホスティンが可能なツールで、エンジニアであればDockerなどを使って自前で構築することができます。
オンプレミスという形で自社内に設置することも可能ですし、若干費用はかかりますが、クラウド上のサーバーに構築することだって出来ます。
自前での構築について先に触れましたが、まずはBudibase本家のクラウドで無料で試すのが良いでしょう。
2023年8月現在では、無料で作成できるアプリ数は無限、利用できるユーザーも5名までいけるので、評価するのはもちろん、ちょっとしたアプリを作って運用してみることも可能です。
保存できるレコード数も2000まであるので、大量のデータを突っ込んで試してみるというよりも、新規でアプリを作って、データを少しずつ増やしつつ、自社で使えるかどうか検討していくのがいいでしょう。
弊社では色々と触ってみたかったので、自前で構築して運用をしています。(とは言っても、まだ触り始めたところではありますが)
自前で構築するメリットは、何よりも基本機能に制限がないことです。
ユーザー数、レコード数も無限に登録できるので、費用のことを考えずにアプリを拡大することができます。
自社ブランドを入れるには、セルフホスティングでもビジネスプランにアップグレードする必要がありますが、そこまで使うようであれば、支払う価値が十分にあると思っている頃でしょう。
あとはクラウドだと若干動作が重いことがありますが、自社内に構築すると結構キビキビ動きます。
もちろん、これは構築するサーバーのスペックにも寄りますのでご注意ください。
このようにセルフホスティングすれば無料で利用できる範囲が広がりますので、導入に躊躇することがなくなります。
様々なデータを使ってアプリを構築できる
Budibaseにはデータソースという概念があります。
これはアプリを構築するためのデータの元になるものです。
データベースと言わないのは、様々なものをデータとして扱えるからにあります。
例えば、Googleスプレッドシートをデータの元にすることも可能ですし、REST APIからデータを参照することもできます。
現代では様々なツールを組み合わせ業務を行っているのがほとんどであり、Budibaseを利用するために他のツールを諦める必要はありません。
(あらゆるデータソースに対応しているとは言えませんが、主要なデータベースやツールには対応しています)
ですので、まずはスプレッドーシートのような、よく使われるデータソースから構築を始めるといいでしょう。
もちろん、Budibase内蔵のCouchDBで始めても構いませんし、おそらくそれが一番簡単にアプリを構築を始める方法に間違いありません。
一から作らず、テンプレートを改造する
Budibaseにはアプリを作るときにすでに構築済みのテンプレートを選ぶことができます。
いくつかのテンプレートがありますが、すぐにそのまま業務に適用できることはないので、まずは適当で良いので一つ選んでみましょう
なぜテンプレートから始めるかというと、Budibaseは高機能であるがゆえに、初めは使い方がわからないところがたくさん出てきます。
もっというと、Budiaseでどんなものが作れるのかもわからないでしょう。
Budibaseの雰囲気を把握するためにも、まずはテンプレートを使って改造するところから始めることをお勧めをします。
全て英語で取っ付きづらさはあるかもしれませんが、新しいツールを覚える苦労に関しては、英語・日本語はあまり関係ありません。
どこを触れば思っていることが実現できるのか、うまくツールを使いこなすためには、ただ触って覚えることが大事になってきます。
「英語がどうしても」という方は別かもしれませんが、特に抵抗がない方はぜひチャレンジしてみてください。
さて、テンプレートを触ってみると、少し変えればそのまま使えそうだなという部分が見えてくるかと思います。
もしそう思えたなら、そのままテンプレートアプリを改造してもいいですし、いらないものが多すぎると思えば、真っ白なところから真似して作ってみてもいいでしょう。
Budibaseは高機能なため最初の理解は少し時間がかかります。
ただ、テンプレートからできることを把握していければ、多少は学習難易度が下がるのではないかと思います。
Budibaseは日本語に弱い
海外製のツールによくあることで、Budibaseも例に漏れず、日本語に対応していません。
まずはインターフェースについて。
GUIが全て英語なので、英語に苦手意識がある方は辛いかもしれません。
公式ドキュメントも非常に充実しているのですが、当然、全て英語で書かれています。
Vimeoを使った解説動画もありますが、もちろん英語です。
ただ動画の方は雰囲気で使い方を把握できるので、気にしない方はぜひ参考にしてみてほしいと思います。
あとはデータの定義に日本語が使えないというのがあります。
例えば、アプリ名であったり、テーブル名であったり、テーブルの列名などは英語で指定する必要があります。
日本語でも利用できなくはないのですが、エラーが発生するので、うまく保存できているのか、そのまま使い続けていいのか不安になりますので、英語で指定するのが無難でしょう。
とは言っても、テーブルの中のデータや、画面を作るときのラベルなどには日本語が使えますのでご安心ください。
Budibaseにはそういった日本語向きでないという課題はありますが、扱う側が慣れてしまえば問題はないとも言えるでしょう。
セルフホスティングはエンジニア向け
Budibaseは自前で構築できる、セルフホスティングも大きな特徴だと言えます。
ただし、実際に構築するにあたっては、Dockerなどのエンジニアとしての知識が多少必要になります。
Budibaseは公式でCLIも用意しており、エンジニアにとっては比較的簡単に構築ができますが、経験がない方にはさっぱりわからないかと思います。
よくわからない場合はBudibase公式のクラウドを利用するか、弊社のようなシステム会社に構築を依頼するといいでしょう。
高機能ゆえに学習が必要
ローコードとはいえ、ツールである限りは扱い方を学習しなければなりません。
Budibaseも例に漏れず、多少の学習は必要になります。
特に画面の構築ではBudibaseで出来ること・出来ないことを理解しておかないと、やりたいことができるかわからず、永遠と画面を触り続けることになります。
これは他のツールでも言えることですが、触ってみて、ドキュメントで調べて、また触る、という工程を繰り返して、Budibaseの扱い方を覚えてかなければなりません。
またBudibase自体の更新も頻繁に行われているので、せっかく使い方を覚えたとしても、画面の配置などが変わることもあります。
使い方の根本が変わることはありませんが、「もしかしてアップデートの影響かも?」といったことも念頭において触っていくのが大事です。
どちらにしても、楽にシステムが構築できるという思いだけでは、「全然簡単じゃない」という結果に終わりかねないので注意しましょう。
Budibaseはノーコード寄りのローコード
Budibaseは画面操作だけでも十分にアプリの構築が可能ですが、ときには痒い所に手が届かないこともあります。
そんな時はJavascriptを書いたりもするのですが、そうなるとエンジニアの領分になってきます。
全てが画面上で思い通りに作れるとは限りませんので、画面上で出来ること、プログラミングのようなエンジニアリングが必要なところを分けて考える必要があります。
ただ、そんなことを言われても一般のユーザーには分かりませんので、弊社ではこれから知見を貯めていき、その辺りの切り分けできるような事例を用意していこうと考えております。
またBudibaseは頻繁にアップデートされているので、ノーコードとしてできる範囲が増えてくる可能性も十分にあります。
「今はできないけど、将来はできるようになる」機能に関しても期待していいでしょう。
Budibaseは何を作るのに向いているか
ローコード全般に言えるのですが、Budibaseは社内向けアプリの構築にお勧めです。
外部向けアプリはデザイン性を求めることもあり、ローコードツールではデザインのきめ細かな設定ができないことが多いので向いていません。
一方、ローコードツールはちょっとした社内向けツールを作るにはぴったりで、社内の人間がうまく使えれば、どんな歪な画面設計でも問題ありません。
ある意味、超実用的とも言えるでしょう。
内部向けとは言いましたが、協業関係にあるパートナー会社などであれば、デザインを気にせず、実利を取って利用してくれる可能性は高いです。
何が作れるかについては想像次第でもあり、各社業務フローも色々なので、また別の機会でしっかりとご紹介したいと思います。
最後に
いくつかローコードツールを触ってみましたが、エンジニアが開発したかのようなアプリが構築できるのはBudibaseのみでした。
Budibaseは無料で利用できる範囲が広く、ローコードとして画面上で出来ることも多く、エンジニアの力で機能拡張することもできる、十分に採用する価値があるのではないかと思っています。
弊社もまだまだ検証中ではありますが、お客様への提案の一つとしての選択肢になるのではないかと期待をしております。
お読みいただきまして、ありがとうございました!
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