システム開発を検討するとき、まず何から始めたらいいか悩むかもしれません。
業者選びから始めるのか、その前にもっと要件を固めてから依頼した方がいいのか、気になる点がいくつかあるかもしれません。
今回はそんな開発にあたって必要な準備について、会話形式でご紹介します。
藤沢真人、IT業界20年のベテランエンジニアで40歳。
請負開発の会社でプログラマー、システムエンジニア、プロジェクトマネージャーとしての経験を積む。
その後、中小企業のIT支援をするために小さな会社を設立。
現在はITを活用したい会社のためのアドバイザーとして、複数の会社のコンサルティング業務を行なっている。
モットーは「すべての会社にITを」。
小さなウェブ制作会社に勤める営業マン、52歳。お願い上手のお調子者。
営業歴30年の超ベテランだが、気軽に相談しやすいことから、サイト制作以外の話もよく受けている。
ただ専門的なことはわからないので、いつも真人にお願いして困らせている。
口癖は「仲の良いお客さんだから断れないんだよ。」
システム開発の依頼には何が必要か？
大船さん真人君！
真人大船さん、今日はどうされましたか？
大船さんお客さんからシステムを作りたいと相談があって。
真人そうなんですね。
大船さんただ、お客さんから何を依頼したらいい？と聞かれてさ。
真人ええっと…。
お客さんの方で何かやりたいことがあるからご依頼があったのでは？
大船さんそうなんだろうけど。
お願いしたいことが、上手くまとめられないんだって。
真人なるほど、そういうことでしたら、ご依頼いただいた経緯も含めて、一つずつ確認していきましょうか。
まずは相談ベースで、開発会社に問い合わせることも可能
真人まずはお客さんが何をやりたいのか、お聞かせいただけますか。
大船さんお客さんの顧客同士で、ビジネスマッチングができるシステムを作りたいと言っていたよ。
真人自社の顧客同士を引き合わせるサービスの開発ですね。
大船さんうん、まずはそんな話だったね。
それで見積もりがほしいとのことだ。
真人わかりました。
見積もりはお出しできます。
ですが、もう少し情報がほしいですね。
真人システム開発の概算見積もりはお客さんの想像よりも精度が低いですよ。
大船さんそうなの？
それじゃあ、あんまり見積もりを出しても意味がないね。
真人場合にもよりますね。
お客さんの予算採りのために先に見積もりがほしいということもありますから、何か急ぐ背景があるなら、それもあわせて確認します。
大船さんなるほどね。
最終的な見積もりとは言えないけど、概要があれば見積もりは出せると。
真人そうですね。
ちなみに納期はいつ頃ぐらいと聞いていますか？
大船さんなるべく早く使いたいとしか。
真人なるほど…。
どれぐいの期間をイメージしているのか、もう少し温度感を知りたいところですね。
大船さん多分だけれど、まだ何も決まっていないと思うよ。
真人それではいくつか提案してみましょう。
提案に対するお客さんの意見を聞いて、さらに詳細を詰める感じになるでしょう。
大船さん今さらだけど、こんな何も決まってない状態から相談していいんだろうか？
真人大丈夫ですよ。
システムを作るプロが開発会社ですから、ご相談いただいたほうがより良いものが作れるでしょう。
システムを作りたいと考えたとき、何を作りたいのか、予算や納期、すべてのことが決まっていなくてもご相談いただけます。
開発会社によっては「何かシステムを作りたいんだけど、何を作ればいいと思う？」といった、どんなシステムを作るかの相談に乗ってくれるところもあるでしょう。
ITを活用したいけれど何が良いのかわからない、といったご相談はコンサルティング業務に近いですが、システム開発は業務改善などを目的とすることが多いので、図らずも仕様検討の段階でアドバイスをしている形になります。
システムの相談に料金は発生するのか
大船さんじゃあ、作りたいシステムの概要だけでも依頼はできるんだね。
真人可能です。
とは言っても、詳細を詰めるための打ち合わせはします。
見積もりの段階では、細かな機能については検討されていないことがほとんどですから。
大船さんそれはそうか。
いくらぐらい？って聞いているところで機能の詳細は考えてないよね。
大船さんところで、いろいろと相談に乗ってくれるのは嬉しいんだけど、相談料金が発生するんじゃないの？
真人確かに…ないとは言いません。
コンサル費用としていただくこともあれば、要件定義書作成費などでドキュメントを納品することもあります。
大船さんコンサル費用はわかるけど、要件定義書作成費用って？
真人どんなシステムを作るのか、これを決めるにもITの専門的な知識が必要になります。
システムの内容、開発方法、運用方法などプロジェクトを成功させるための基本方針が定められているのが要件定義書です。
真人システムの規模が大きくなればなるほど、要件定義書作成の労力は増えていきます。
それだけで数ヶ月に及ぶ作業になることもあります。
大船さんやっぱり相談すると費用がかかるものなんだね。
真人そうとも言い切れません。
開発するシステムの規模感によっては、要件定義のフェーズがないこともあります。
実際には、開発の一環で内部的には行なっているのですが、要件定義を意識しないような場合です。
大船さんつまり、どういうことなの？
真人簡単にいうと、すべて開発費に含んでいるため、正式にご依頼いただくまで、相談も含めて費用はいただかないということです。
大船さんそれって、相談のコストは開発会社の持ち出しになるよね…？
真人ええ、まぁ、そうですね…。
システム開発は準備も大事ですから、ある程度は仕方がないと考える会社も多いと思いますよ。
大船さんそういうものかい。
真人開発会社さんの方針にもよりますが。
見積もりであれば、すぐに出してくれる企業も多いでしょう。
そこからどこまでいっしょに考えてくれるかは、本当に会社さん次第です。
真人あとは相談した開発会社のリソースがない時はお断りされるかもしれません。
大船さんそれは当然あるよね。
依頼側の思いを全て伝える
真人準備というほどではないですが、システムをご相談いただくときは、すべてお話しいただきたいという気持ちはありますね。
大船さんすべてとは言っても、曖昧だね…。
真人言い換えるなら、思いついたことすべて、ですね。
何を作りたい、今後どうしたい、予算はこれぐらいで抑えたい、いつまでにほしい、本当にあらゆることを知りたいんです。
大船さんうーん、真人君ってヤバい人？
真人…茶化さないでください。
もちろん、必要だから言っているんですよ。
大船さんわかってるよ。
でも、何でそこまで伝えないといけないの？
お客さんからすれば面倒だと思うけど。
真人気持ちはわかります。
でも、いろんな事情を知っておかないと開発会社は良い提案は出せないんですよ。
大船さんふーん、そういうもの？
真人ええ…。
システム開発は終了してから「実はこうしたかった」が必ず出てくるんです。
事前に手に入る情報が多いほど、後から出てくる問題を減らせる可能性が高まります。
大船さんまだ見積もりさえもらってない、相談の段階であっても？
真人はい、知っておきたいですね。
大船さんとはいえ、信頼感がないと、いろいろと話すのは抵抗がありそうだなぁ。
真人もちろんです。
ですから、私はシステム開発の検討をし始めた段階で、できるだけ早く開発会社と連絡を取ることをお勧めしています。
大船さんそれはどうして？
真人もちろん、お互いの信頼感を高めるためですよ。
大船さん早く連絡取りはじめても、信頼できるかはわからないんじゃないの？
真人おっしゃる通りですが、担当者の対応を見ていただくといいでしょう。
軽く打診してみて、レスポンスが早いかどうか、親身に相談に乗ってくれるか、良い提案をしてくれるか、少し時間を使ってお付き合いいただければ見えてくることもあります。
大船さんなるほど、開発会社さんの反応を見るのはできるよね。
真人何にせよ、開発会社は、より良いものを作るために、お客さんの情報を1つでも多くほしいということを知っておいてください。
システム開発を依頼するとき、いろんなことを聞かれて辟易するかもしれません。
ただ興味本位で質問しているわけではなく、システム開発に関わる可能性があるからです。
例えば、新しく作るシステムは何人体制での利用なのか、どんなスキルの人が使うのか、年中使うのか、普段使ってるシステムはどんなもので…と「なぜそこまで？」と言いたくなることもあります。
質問するからにはどれも意味があるのですが、質問の意図については、また機会がありましたらご紹介します。
機能の詳細はぜひ相談してほしい
大船さんそれじゃあさ、作りたいものはもちろん、他の細かい機能まですべてお客さんが考えて持ってきてくれたら、開発にはすぐ入れる？
真人当然、見積もりはしますが、お客さんの資料を読み込んで検討する時間は必要です。
大船さんまぁ、そうだよね。
読み込むのは見積もりに影響するから？
真人それもありますが、実現可能かということと、もっと効率の良い方法はないかを見るためでもあります。
大船さんふーん、お客さんの仕様を疑ってるわけ？
真人いえ、そうとは言いませんが！
ただITのプロとしてより良い提案をするためです。
大船さんそりゃ、そうだよね。
真人わかってて言うの、やめてほしいんだけど…。
真人よくあるのは、無理にシステム化を行うときがありますね。
アナログで行なっている作業をシステムに置き換えた結果、逆に非効率になることがあります。
真人つまり、システム化にあたって、業務そのものを見直す必要があります。
大船さんそんなことが資料だけでわかるの？
真人いえ、わかりません。
ですから、あらかじめお客さんの業務について詳しく尋ねたり、小さなことでも確認することもありますね。
大船さんなるほど、話を聞いてる限り、業務改善のようなこともやるわけだ。
真人ええ、業務用システムを作るなら、お客さんの業務を改善をすると同義です。
一般ユーザー向けでしたら、また別ですが、お客さんの業務理解と改善提案はシステム開発ならセットで行うものだと思っています。
大船さんなるほどね。
君が何でも相談してほしいという意味はわかったよ。
必ずシステム担当者を用意する
大船さんここまでの話だと、特に準備するものはないってこと…？
真人そうですね、ほぼ手ぶらでご相談いただけます。
ただし、1つだけお願いしたいこともあります。
大船さんうん？何だろう。
真人システムの担当者をご用意いただきたいのです。
大船さんそれはまたどうして？
真人お客さんの会社内で意見をまとめていただく人がいないと、開発業務が滞ることが多いんです…。
大船さんそうなの？
よく想像できていないんだけど。
真人いわゆる渉外窓口と言いいますか、お客さんとの意思疎通は誰と取ればいいのかわからないと、責任の所在がわからず、プロジェクトが立ち消えになることもあります。
大船さんまぁ、それはわかるよ。
システム開発に限らず、よくあることだよね。
真人これがご依頼いただく前ならまだいいのですが、開発が始まってから担当者が不在だと、かなりの確率でシステム開発が失敗します。
大船さんうーん、それは困るよね。
具体的にはどうなるの？
真人例えば、仕様確認や詳細を決めたくて、打ち合わせをお願いしたいとき。
真人お客さんは自社の業務で忙しいのがほとんです。
それはよくわかっているのですが、会議の要員が出せなければ、開発は途中で止まってしまいます。
大船さんまぁ、作るものを決めるミーティングが行えないなら、仕方がないよね…。
大船さんでもそんなことって、実際にあるの？
真人ゼロとは言い切れません。
先ほどのは極端な例ですが、担当者がいないプロジェクトは大なり小なり、そういったことが起こります。
大船さんうーん、わかった。
担当者が大事ということは肝に銘じておくよ。
システム開発の請負をしていると、たまに担当者不在の状況が続くことがあります。
理由は様々ですが、よくあるのは「お客さんの業務が忙しくて」ということがあります。
小さな会社では社員一人ひとりの権限が大きく、それだけに忙しくしていらっしゃいます。
システムの担当者もまた、他の業務で兼任であることが多いのです。
とはいえ、開発を進めるには都度相談したいこともあり、何とか時間を作っていただかないといけません。
何も決まってなくても相談はできる
大船さん結局、依頼する側が準備しておくことだけど。
大船さんシステムについては何も決まってなくても良いけど、担当者は用意してほしい、ということで合ってる？
真人そうですね！
気負わずにご相談いただけたら、詳細を詰める作業もお手伝いさせていただきますよ。
大船さんわかった。
お客さんにはそう言っておくよ。
ファンブリューでは神奈川県藤沢市を拠点に、全国各地のシステム開発を請け負っております。
システム担当者の方で、
現在こんなお悩みはありませんか？
開発会社にお願いをしているけれど、なんだか反応が良くない…
気軽に相談できない
開発後もしっかりサポートしてほしい
ファンブリューでは血の通ったシステム開発を行っています。
お客様との将来的な関係を見据えて、お仕事をお受けしています。
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