ファンブリューの金井です。
最近、「ChatGPTなどの生成AIがあれば、もうエンジニアはいらないんじゃないか?」という声を耳にすることが増えてきました。実際、AIによるコード生成は日進月歩の進化を遂げており、一見すると誰でもシステム開発ができる時代が来たように感じるかもしれません。
しかし、現場のエンジニア視点で言えば、それは極めて危うい幻想です。
「AIがコードを書いてくれる」ことと、「業務に耐えるシステムが作れる」ことはまったく別物です。この記事では、なぜ生成AIだけでは実務に通用するシステム開発ができないのかを、3つの観点から詳しく解説します。さらに、生成AIを“賢く使う”ための実践的な考え方にも触れていきます。
プログラミングを知らなければAIのコードは使いこなせない
まず最初に理解しておくべきなのは、「AIが書くコードは不完全である」という事実です。実際、ChatGPTやGitHub Copilotが生成するコードには、以下のような問題が頻出します。
- 関数の動作が想定と違う
- 使用しているライブラリのバージョンが古い
- エラーハンドリングが甘い
- セキュリティリスクに対する配慮が皆無
例えば、PythonでWebスクレイピングをするコードをAIに依頼すると、一見正しく動くコードが出てくることがあります。しかし実際には、対象サイトが変更された際にすぐ壊れる、Cookieの扱いが不十分、といった問題が潜んでいたりします。
こうした“それっぽいけど危ういコード”を見抜き、修正するには明確な技術知識と経験が不可欠です。
AIはあくまで「書記係」であって、「レビューや検証」はエンジニアの仕事。
ここを見誤ると、致命的な不具合に気づけないままシステムをリリースしてしまうことにもなりかねません。
業務を知らないAIに「現場に合ったシステム」は作れない
AIは、言葉の意味や構文は理解できても、「会社ごとの事情」や「現場の肌感覚」はわかりません。これは、生成AIが“事実”ではなく“パターン”を学習しているからです。
例えば「営業支援システムを作って」とAIに依頼しても、業界特有のルールや企業文化、承認フローなどを正確に汲み取ることは不可能です。
たとえ業務フローを説明しても、AIはそれを“文章データ”として処理するため、設計意図を読み違えたり、必要な処理を見落としたりするリスクがあります。
つまり、「どんな業務で、どんな人が、何のために使うのか」という文脈を理解していないAIに、正しい仕様のコードを任せるのは無謀と言わざるを得ません。
システム開発において最も大切なのは「要件定義」ですが、ここはAIが最も不得意とする領域なのです。
AIは新技術にも業務の変化にも“指示がなければ”対応できない
生成AIの学習データは常に「過去の情報」です。GPT-4 Turboのような最新モデルであっても、知識には更新の限界があり、今この瞬間に登場したライブラリやフレームワークに即座に対応することはできません。
さらに、あなたの会社の独自業務やローカルルール、API仕様などは、そもそもAIが知らない情報です。
これらを正しく反映したコードを生成してもらうには、こちら側から明確なインプットを行う必要があります。
「この情報は与えていないけど、きっと汲み取ってくれるだろう」という期待は通用しません。
人間同士の開発でも“言わなければ伝わらない”のが常識ですが、AIはなおさらです。
そのため、「自社独自の最新技術」「複雑な業務ロジック」「法改正への即時対応」などが絡む場合には、AIの活用に限界があることを理解しておく必要があります。
過信がプロジェクト失敗を招く──AIに任せきりはリスク
生成AIは非常に便利ですが、その性質上、下記のような問題を引き起こすリスクを孕んでいます。
- ブラックボックス化:誰も理解できないコードが量産され、保守不能になる
- 要件ズレ:仕様が現場ニーズに合っておらず、やり直しが発生
- コスト増:期待外れのアウトプットにリソースを費やし、かえって開発が長引く
弊社でも、「AIでコードを書いてみたが、結局うまくいかず依頼し直したい」というご相談を何件もいただいています。
これは、AIが悪いというよりも、“使い方の問題”です。
人間が意図を明確にし、生成されたコードを評価・修正しながら進めていく──この姿勢がなければ、生成AIを使ってもプロジェクトの成功確率は決して上がりません。
それでも生成AIは武器になる。正しい活用法とは?
ここまで少し厳しい話が続きましたが、生成AIを否定するつもりは一切ありません。むしろ、使い方次第では開発現場にとって極めて強力な武器になります。
たとえば以下のようなシーンでは、AIは抜群の効果を発揮します。
- 定型的なコードの自動生成(フォーム、CRUD処理など)
- 複雑な関数の雛形作成やコメント補完
- テストコードのドラフト生成
- API仕様の読み解きとコードへの反映
- 初学者のメンター代わり(説明やコード解説)
ポイントは、「AIに頼り切る」のではなく、「AIに先手を打たせて、最終的には自分が判断する」こと。
また、ノーコード・ローコード開発と組み合わせることで、プロトタイピングを高速化し、そのまま運用に耐えるシステムへと昇華させることも可能です。
まとめ:生成AIは“共創ツール”。主導権を握るのはあくまで人間
生成AIを使ってもシステム開発ができないと言われる理由は、以下の3つに集約されます。
- プログラミングの知識がなければコード修正ができない
- 業務知識がないAIには仕様の意図を伝えきれない
- 最新技術や自社事情にはAIだけでは対応できない
だからこそ、生成AIは“共創のツール”として使うべき存在なのです。
主導権はあくまで開発者・設計者側にあり、AIはそれを支える“賢い相棒”にすぎません。
AIに任せきりでは、間違いなくどこかで壁にぶつかります。
ですが、戦略的に活用することで、想像以上のスピードと品質を両立できる──それが、今の時代における理想のAI開発スタイルではないでしょうか。
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